「唯一であれ」にひそむ温もり

読んでよかった。読後感がとてもいい。

永遠の命を持つ存在と、彼を世話する務めを担った少年のお話。

たとえば人間でも、野生の猿の顔を見分けるのは困難だ。それと同じように、彼にとっては人間なんて人間という種の「群れ」であり、「個」ではなかった。その認識がひとりの少年によって塗り替えられていく。その果てに彼が得た「唯一」の答えが、愛おしい。

しっとりと胸に残る昔話。ぜひ読んでほしい作品です。