大坂冬の陣・夏の陣を真田幸村の娘の視点から描いた作品。父の書状を携え、敵陣へと赴いた16歳の阿梅は、父が戦場に修羅を生み出すさまを目の当たりにする。この戦いをよく知らない人でもわかるように戦況が書かれているし、中心となる登場人物も絞られているのでわかりやすい。父や弟、想い人がいる戦場を外側から眺める阿梅の心情や、彼女を取り巻く状況の変化も興味深く、短いながらも良質で惹き込まれた。読後は、一本の映画を観たような気持ちになった。