声なき者の想いも重ねて

ある日、祖父から依頼された「自分の歌声を重ね合わせて合唱にしてほしい」。
孫はそれに応えて、おじいちゃんから託された録音を一つ一つ重ねていきます。
次第に合唱が出来上がっていくとともに、積み重ねられていく想い。
激動の時代を生きたおじいちゃんが、その体験をやわらかな言葉で孫に伝える様子には、そうして話せるようになるまで、相当の苦悩があったであろうことが言外に伝わってきます。
重いテーマを、つとめて読みやすく仕上げられていて、残すこと、伝え続けることの大切さも感じる作品です。