じょしまんざい!

HiDe

第1話 葵と茜 〜綿花ドブ落ちて満開アタシみたいだ〜

時は大お笑い時代。輝かしい夢の舞台に立てるのはほんの一握り。これは、青春をお笑いに懸けた二人の女子高生の物語である。


葵「どうも~!」


茜「クスリは人間の身体を蝕みます!STOP!麻薬売買!」


葵「いきなり何してんねん!!」


葵の渾身のツッコミが会場に響き渡る。


茜「葵の渾身のツッコミが会場に響き渡る。」


葵「いらんねんそのナレーション!てかさっきのはなんやねん!」


茜「社会派漫才目指そうかな思て」


葵「どこの誰が初ステージで道踏み外すねん」


茜「いや、葵ちゃん……『道踏み外す』ってちょっと麻薬と被ってて紛らわしいから」


葵「どうでもええやろ細かいのう。」


茜「……」


葵「ずっと『ちょっと……』みたいな顔で見つめんの何やねん」


茜「さ、やっていきますよ!まずは初めましてのご挨拶ということで自己紹介の方さしてもらいましょうかね!」


葵「切り替えキモいな」


茜「葵ちゃん。」


葵「なんですか?」


茜「あの、ふざけないで。」


葵「急にマジな顔になってる。」


茜「お客さん真剣に見てますから、さっきから言葉遣い汚いですけどそれじゃ困るんで。」


葵「まあそれはしゃあないんじゃないですか」


茜「あのさ、まあとかしゃあないとか言うてる場合ちゃうやろがい!!!!!!ええ!?お客様を!本当にお出迎えしようという気がある奴やったらのう!!そんな言葉遣いするはずないけどな!!!」


葵「むっちゃ汚くなってるやん……w」


茜「おっしゃられてる意味がよくわかりませんけどぉ!!?」


葵「無理やり丁寧にしようとしてキレた店員になってるわ」


茜「さ、やっていきますよ。そろそろホントに。」


葵「そろそろホントにとか言うなや。まぁスタッフさんが『早く回せ』って合図出してるからやろか。」


茜「あ、ホンマに言わんでいいこと言うてるわ」


葵「すんませんw」


茜「どうも~!赤いほうの私が茜で、こっちの青いほうが」


葵「葵です~。」


茜「二人合わせて『綿花ドブ落ちて満開アタシみたいだ』です~!よろしくお願いします~!ね、非常に覚えやすいコンビ名ということでやらしてもらってますけども」


葵「いやどこがやねん。ちょっとお客さんに覚えてもらえないと思うわ。」


茜「そうですか?ポエミーでいいじゃないですか。泥水をすすって育つ女子高生って感じで。」


葵「いや、ちょっと間違えてへん?ミミズの仲間みたいになってるから。まぁこういう例えですよね。泥臭く頑張るのがポリシーですよみたいな」


茜「そういうことですね。夢に向かって頑張ってますって感じですね。」


葵「へへwすんませんね、こっ恥ずかしい青春お見せして。」


茜「まあ覚えにくい人は頭文字とって覚えてもらえれば」


葵「ほう!結局そういうのんが一番いいですよね!」


茜「綿花のM!」


葵「M」


茜「ドブ落ちてのD!」


葵「D」


茜「満開のM!」


葵「M」


茜「アタシみたいだのA!」


葵「A」


茜「MDMAで覚えてくださいね!」


葵「いや一軍のド麻薬やないかい!!!」


茜「麻薬やったなあ……。」


葵「何鮮やかな青春と思わせてドス黒い闇の名前つけてんねん。ずっとおかしいと思っててん。最初聞いたとき『綿花』が全然ぴんと来おへんかったし。」


茜「ライチの中身綿バージョンみたいな花や」


葵「ちょっと外殻固めとか知らんねん。なんやねんその独特な花。絶対一回も見たことないわ。」


茜「でも知ってるやろ。社会の教科書に載ってるの見たことあるやん。」


葵「……なんか思い出してきたあああ!ほらあのでっかい円グラフ載ってる奴!中国とかから輸入してくる奴や!!」


茜「そうそう!ほら有名な花やろ」


葵「有名なんは大抵理科の教科書載るねえええん!!!」


茜「うわびっくりした急にキレるやん。」


葵「まあね、起こってしまったことはしょうがないじゃないですか?ね?」


茜「何コイツ怖いわ」


葵「心の泉を真っ白にしましょう。」


茜「うん、落ち着いたならよかったわ。」


葵「失敗は誰にでもあります。でも失敗した後何もせんかったら変わりませんよね?ほな今すぐどうすればええか考えるのがお前の仕事ちゃうんかあああああああい!!!!!!!」


茜「こわいwwアカン、涙出てきてもうたwwwなんなんコイツ……。心、心の泉は?」


葵「もはや枯れ果てた砂地も同じよおおお!!定命じょうみょうの者どもめ!!!」


茜「そんな口調でしたか??w」


葵「ええから次は理科の教科書から持ってこおおおおおおい!!!!!!」


茜「わかりましたわかりましたちゃんと理科の教科書から持ってくるから」


葵「頼みますよほんまに」


茜「じゃあ『むかご』にしよか!」


葵「それは家庭科やろがあああああああああい!!!!!!!!!!!!あとむかごは芋みたいなねばねばしてる炊き込みご飯にして食うやつとか誰がわかんねえええええええん!!!!!!!!!定命じょうみょうの者どもめえええええええ!!!!」


茜「定命の者ってなんですか?wさっきからちょいちょい引っかかるんですけどww」


葵「はぁ、はぁ……。」


茜「名前変えよか?」


葵「いや、もうだいぶ覚えてもろたかもしれないんでもったいないって言うか。」


茜「じゃあ誤解されないためにあれやっとこか。」


葵「せやな。」


茜「せーの」


茜・葵「STOP!!麻薬売買!!」


茜・葵「どうもありがとうございました。」

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