優しい嘘

誰しも若く経験が浅い頃は、軽く見られたり蔑みの対象となることを避けられないものです。この作品の主人公も正にそう。
たどたどしく軽薄なトーク。すぐに嘘とわかる薄っぺらい見栄っぱり。
作者さまが漢字の使用を少な目にしている所からも知的なキャラクターでない事がハッキリと伝わってきます。

私も内心「頭軽そう」と思いながら読み進めていました。
ところが……詳しく話を聞いてみれば彼がそのような蔑みには似つかわしくない好人物だという事がハッキリするのです。
「若さゆえの過ち」という言葉もありますが、これは正にその逆。
若いからこそ持てる情熱と、不条理への怒りというものがあるのでしょう。
願わくば、出る杭を打たんとする社会に負けず、その熱さをいつまでも忘れずにいて欲しいものです。

胸が熱くなる話をお求めの貴方へ、おススメです!

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