ソロも方便

会話劇ですな。
読み進めてゆくとわかりますけれど、
電話で話しています。
ソロをはじめると。
ソロにもいろいろありますからね。
わたくしはなんでもソロです。
どうも主人公はダンサー？　タグにあるからダンサーですね。
なぜソロ活動かというと、さみしくなっちゃうから言えません。
なぜ電話かけているかというと、さみしくなっちゃうから言えません。
元気で生きろよ！

誰しも若く経験が浅い頃は、軽く見られたり蔑みの対象となることを避けられないものです。この作品の主人公も正にそう。
たどたどしく軽薄なトーク。すぐに嘘とわかる薄っぺらい見栄っぱり。
作者さまが漢字の使用を少な目にしている所からも知的なキャラクターでない事がハッキリと伝わってきます。

私も内心「頭軽そう」と思いながら読み進めていました。
ところが……詳しく話を聞いてみれば彼がそのような蔑みには似つかわしくない好人物だという事がハッキリするのです。
「若さゆえの過ち」という言葉もありますが、これは正にその逆。
若いからこそ持てる情熱と、不条理への怒りというものがあるのでしょう。
願わくば、出る杭…続きを読む

ソロ活動を始めるというダンスパフォーマーの電話の相手は、昔の知り合い。
彼らは過去を振り返り今へと繋げていく、というお話。

会話の中で少しずつ明るみになっていく彼らの人生、描かれる悲劇に心揺さぶられます。
気にせずいられる人ばかりじゃない、不遇な目にもあう。悲しいことはびっくりするほど降りかかってもきますが、なんとか乗り越えていきたい、そういう気持ちにさせてくれる短編でした。

ラスト一文での回収に心を持っていかれます。
素敵な短編に皆さんも心を動かされてみませんか？

じつはよ、おれ、来月からソロで活動することにしたんだ。


作者様の通常とは違った語り口なのも面白いです。

後半に意外な事実と考えさせられる内容。

タイトルの意味もいいです。

頑張れ！　と思わず応援したくなってしまうお話です。こう言う話、現実にも結構あるんですよね。
その人は悪くない。悪くないけれど……という悲しいお話。そんな「悲しい人たち」が少しでも減るように、願わずにはいられません。

頑張れ！　きっと君たちの未来は明るいぞ！