暴力沙汰は日常茶飯事。生きているだけですぐに命の危機に瀕するほどの不運属性を持つ駿河凪は、ある日死神の迅と出会う。俺事務員を探してるんだけど、君お金なさそうだから契約しちゃう?くらいのノリで死神と従属の契約を交わした凪。だけどこの死神、なんとびっくりするくらいクズだった!
死神の仕事は悪人や余命の少ない人間の命を刈り取ること。場合によってはかなり凄惨な現場を目にすることになるのに、「タダ働きできる人間が見つかってよかったよ」と言わんばかりに雑な対応をしてくる迅。次々に現れる身近な人達も、一見イイ人そうに見せかけて実はクズなやつらばかりです。だけどドタバタの日常の中で死神の仕事を知っていくうちに、やがて凪も彼の共謀者になる覚悟を決めていきます。
成り行きでバディのようになった二人の、
付かず離れずの関係がなんとも小気味よく、読んでいてとても楽しい作品です。ブロマンス好きの人は必見!サクサク軽く読めるところも魅力的です。
ですが1章を終えて2章にいくにつれて自体は一転。迅の過去がわかるにつれて、成り行きで契約関係を結んだだけの関係だったはずの二人には強い縁があることがわかり、「えっ何これエモい」の感情がプラスされていきます。
章が進むに連れてどんどん開示されていく死神のことや凪の秘密。最初はお互いに仕事仲間くらいの感情しかなかった二人が、だんだんとお互いになくてはならない存在になっていきます。
言い合う言葉は粗雑で軽くても、その中に滲み出る相手への想いや信頼の気持ち。一方的に守られたり搾取される関係ではなく、お互いに守り守られる関係が大変熱く、バディものの良さ、ブロマンスの良さがぎゅうぎゅうに詰まっている作品です。サブキャラも、一見いい人そうに見えるのに蓋を開ければ全員クズ!(笑)でもどこか憎めないと絶妙に魅力的なキャラクター達ばかりです。
連載は完結していますが、今後の二人の時間はずっと続いていくことを感じさせられるラストで、もっともっとこの二人の日常を見たいと思わせる作品でした。
大変おすすめです!
道を歩けばクズに出会う。それくらいに運がない主人公、凪はある日、死神と名乗る不審な男に出会います。ピンチを助ける代わりに仕事を無給で手伝うことになった凪。そんな凪の前に現れるのは多種多様なクズたち。
クズなイケメン好きですか?
私は好きです。中途半端なクズではなく開き直って堂々としているクズは清々しさを感じます。
関わりあいになってはいけない。そんな危険な香りが漂っているのも魅力的です。
そんなクズたちがこの作品にはたくさん登場します。
自分のことしか考えていない死神。
堂々と偽物を売りつける男。
先輩の彼女に手を出す男。
それだけでも手にあまるのに凪はトラブル引き寄せ体質。次から次へと訪れるトラブルを文句をいいつつ解決して見せる死神。
凪にとってこれは良い出会いなのか、それとも悪い出会いなのか。人によって意見は分かれるでしょうが、私は良い出会いだと思います。
もっとこの物語をよみたい。そう思える作品です。
これでもか!というぐらい、屑としか表現できないような人が諸々出て参りますが、出すぎて麻痺して、一番屑っぽい死神が最も常識的で頼りがいがあるように見えて来るという錯覚が生じます。
この作品に、漢字を一文字あててみるとしたら「爽」。
読まれた方は何処が!?と思われるかもですが、この爽という漢字、中央の大を人に見立てると、まるでナイフ投げの大道芸の的にされてる人と、そのぎりぎりに刺さるナイフに見えてきませんか?
主人公は、この大のところ担当という感じです。
かなりギリギリ、命の危険もあるシーンがてんこ盛り。痛いシーンも多めですね。死神の存在が、彼を助けているのですが。ギリギリになる前に助けられるはずなんだけど、あえてギリギリにしてる?ところにも屑感。
でもなんだか、とってもいいコンビのような気もして……?
「もうこれは運命だ、諦めるといいよ」と、自分も屑になって選ばれてしまった(目を付けられた?)主人公の肩を叩いて励ましたくなる作品です。