惜しいところはあるものの魅力もある作品。

設定など、人を惹きつけ、読もうかなと思わせる力があり展開はわかりやすくその上色々と期待できる設定ではあるがいかんせん雑さが目に止まってしまうところが惜しく感じられ残念に思う。

主に問題に感じたのは主人公の態度にブレがある点と展開を速度に振り切っている点である。

主人公の態度としてブレがひどいと感じたのは他の人のレビューでも見受けられる「イキっている」「初対面の目上の人間に対して偉そう」という部分が主人公の魅力を大きく削いでいる。
偉そうになったり丁寧になったり、調子に乗ったり…とコロコロ変化するのも人間なのだからこういう物だ、という意見も見受けられたが、個人的には「リアルであれば面白い」とは限らないし地の文で人間的なキャラクターなのだと示すことや脳内で失敗したなと反省するなどわかりやすい方が良いと感じた。
「力を手に入れたのに必要以上におっかなびっくり」や「常に傲岸不遜で実が伴っていなかった主人公に実が追いついた」などの割り切ったキャラクターの方がリアルでなく、面白いかもしれない。

また、展開を速度に振り切っているのか「アイツすげぇ!」「ざまぁ!」「素敵!」までが早すぎる上に、多く、一つ一つが簡素で雑に感じてしまう。
それにより読者と展開の間での空気の乖離が発生していまいち読者が展開にノれずサムく感じ白けてしまう。正直に言うならば、すげぇ展開が雑に持ち上げすぎていてそれでいて多いので「はいはいすごいすごい」と感じる。せめてそのあたりを全体的にギャグ調にするなどであれば…と思う。
また、現状53話にて話が加速しそうなヒキであったことを鑑みるとそこからが本番で至るまでの経路を早くする意図があったのかもしれないがそれであれば尚の事、すげぇ展開の数自体は減らしてしまうべきだと思う。

全体的に設定や題材選びなどは良く、作品の並ぶ一覧から読んでみようかなと感じさせる力はあるものの
読者にたいして「面白い」と感じさせる配慮や努力が足りず、メアリー・スーから脱しきれていない、あえて強く言うならば一人よがりといった印象。

かなり重要な前提となる「読もうと感じさせる、人を惹きつける力」はあるように感じられるので展開や描写を丁寧に描き、読者に対して理解してもらうことをキチンと意識すれば、意図を持って作品を見せられれば、かなり化けるのではないかと思う。

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