アイデアとしては面白く、異世界転生の物語が普及しているからこそこれで理解できるというメタ的な面白さを感じられて良い。
しかしアイデアとしては良かったものの全体が短くアイデアの面白さが物足りず、その上他が追いついていない印象。
いわゆるアイデアの実験作として見た場合展開が「力を得て調子に乗った外道」と言ったものであり文字小説の場合表現できた「外道ゆえの面白さ」は表現できず、コメディとしても弱く、あえて大袈裟にいうならばただただ不快だった。
このアイデアに一般的に読者を味方につけづらく人を選ぶ展開はあまり適しているとはいえないのではないかと思う。
またあっさりしているが故に実験作としての面白み以外が少ない、つまり「絵文字で圧縮している」強みが他の面白みである「展開の面白さ」や「ディテール」、「知識」などを削り取らざるを得なくなってしまっており斬新な挑戦とは難しいものだと感じさせられる。
重ね重ねになるが、アイデアとしての面白さはとても輝く物があると感じるので個人的にはいっそのこと実験作と割り切りお約束展開をもっとなぞって「普通はわからないはずの絵文字の並びが異世界転生のお約束を知っているのでわかる!」もしくは「この展開を絵文字だとこう描くのか!」という面白さにもっと注力されていれば、また数話完結の短編ほどの長さでしっかりと丁寧なものであればより素直に面白いと思いやすい作品だったように感じられる。