京丁椎の真夜中MIDNIGHT∞・令和三年四月～

一時期カクヨム界で流行した文字ラジオ。
その名の通り、カクヨム上で今日こんなことがあったなどの他愛のない文章をラジオ形式で書き、皆の意見を聞いて更に話を進めていくという、全員参加型のSNSや匿名掲示板風のようなものである（と、少なくとも私はそう解釈している）

恥ずかしながら私も文字ラジオをやっていた時期があったが、勢いという感情は初めはいいのだが徐々に興味が薄れていきやらなくなってしまった、理由は定期的に更新しなければならず、かなり大変なのである。

私がこの文字ラジオを知ったのはたまたま何かを検索していたきっかけで知り、ここでは詳しくは書けないのだが、独特な人間である京丁椎という人間の価…続きを読む

　文字ラジオ。それは、不思議な共同体である。

　『京丁椎の真夜中MIDNIGHT∞』とは、言ってしまえば著者である京丁椎による一連のエッセイだ。だがその語りの体裁は、京氏自身が、通常のようにエッセイを書き連ねたものを投稿するものではない。DJ京となってラジオのように、自身の近況や読者(あえてリスナーと記しておこう)からの応援コメントという名のお便りに答えていくのだ。だから、リスナーはただ過去のとある時点で著者によって出来上がり提示された文章を閲覧することによる、独りでの物語世界に没入する感覚を得るのではない。「自分もまたこの文字ラジオを創り上げている一員なんだ！」という高揚感に似た連帯感を…続きを読む