書き手の深い知性と美意識を想像させる、未知の都市を巡る物語。

不思議な青年が語る「ある都市」にまつわる物語です。
かといってその物語は極めて具象的なものではなく、その都市の様々な概念、人々の思想、自然との関わり……などの抽象的なものですが、これを語る文体が非常に麗しい。そこからは、哲学的、または宗教的な美や知さえ感じます。
書き手の知識と教養の奥深さなくては成立しえない物語だと思います。
とにかく、心から出逢えて良かったと思える文章がここにありました。
心が淀んだときにこそ、また読み返したい作品です。