概要
狂気の画家・瀧方沢雲。彼が遺した謎めいた絵画について。
<KAC2021参加作 お題:直観>
狂気と称された画家がいた。名は瀧方沢雲。
私はある望みを持って、彼の遺作「祝福」の前に立っている。
狂気と称された画家がいた。名は瀧方沢雲。
私はある望みを持って、彼の遺作「祝福」の前に立っている。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!何を祝福していると、いうのだろうか。
鬱蒼とした森の深いところを歩いている時の不安。
高い湿度を保った陰鬱とした雰囲気が、読者に纏わりついてくる。
文章によって脳内に再生される映像は、ノイズと灰色と夜の黒で描かれる。
らんらんと白目を輝かせながらキャンバスに筆を叩きつける画家、瀧方沢雲の狂気が匂い立ち、読めば読むほど、ありありとその不気味さを形作る。
才能と、情念と、狂気の結晶「祝福」という一枚の絵。
その題名から想起されるものとは裏腹に、その絵は物語全体の雰囲気を背負うように暗く、不気味な印象を人に与えている。
彼の描く「祝福」とは何なのだろうか。
最高傑作を描けたという自分に対してなのか。
あるいはこの狂気の結実を鑑賞…続きを読む