第2話 じゃんけん、第四の手「ヨッホ」

 じゃんけんに第四の手があったらどうかと誰でも一度は考えるのではないだろうか。

 しかし、真剣に突き詰めたりはしないのも共有されることではないか。

 ここでは第四の手について掘り下げようと思う。


 まず名前だが、グー、パー、は濁音、半濁音に長音と言う対称性がある。

 グーは、か行三段目の「ク」を濁らせており、パーは、は行一段目の「ハ」を濁らせている。

 ここから言えることは、第四の手はチョキと対称であることが望ましい。

 また、チョキは、た行二段目のチに拗音である「ョ」が付いている。

 グー、チョキ、パーのアイウエオ表での位置関係は、グーを起点に一段上、二行左にチョキ、同じ位置関係でパーがある。これらのことから、パーから一段上、二行左である「ヨ」から始まり、チョキの「チ」と「キ」の位置関係が二行右と言うことから「ホ」で終わる形が対称性をクリアする要件と言えよう。また、間に拗音を挟むのではなく、「っ」を入れることで、他の音との差別化及び対称性がより美しくなる。

 以上のことから第四の手は「ヨッホ」とすることが、じゃんけん世界の均衡性を破壊しない策だと言える。


 ヨッホの形。

 グー、チョキ、パーはどれも、グーから派生する形で勝負の場に出る。

 なので、ヨッホもグーから派生しなくてはならない。

 指を立てない、二本、五本は紛らわしいので外したいが、三本も四本も紛らわしい。

 ここは潔く一本とする。親指のみ。

 背景理論としては、親指側と、その他側のどちらが立っているかが印象に強く作用する感じがするので、

 グー:親指×、その他×

 チョキ:親指×、その他◯

 パー:親指◯、その他◯

 なので、

 ヨッホ:親指◯、その他×

 が対称性もあってよろしい。

 公式の形としてはシンプルが望ましいので、普通のサムアップとする。


 ヨッホの能力

 じゃんけんには「勝ち」「負け」「あいこ」の三つの結果がある。これらは均等に出現せねばならない。ある組み合わせだけボーナスで二倍勝つではない。

 そのためには

1)勝つと負けるを増やす(勝つを増やせば同時に負けるが増える)

2)あいこを増やす

 の二つの戦略がある。

1)勝つと負けるを増やす、の場合、

 あまりうまくいかなかった。

2)あいこを増やす、の場合

 三すくみを四角形にして、自分の前の形には勝て、後ろのには負けて、対角線上のとはあいこ、自分と同じ形でもあいこ、で成立する。

グー>チョキ>パー>ヨッホ>グー

グー><パー

チョキ><ヨッホ

(><はあいこ)


 使い勝手が悪い上に、得られる結果はじゃんけん(普通)と同じなので、日の目は見ないだろう。

 これまで掘り下げられて来なかったのは、そこに宝物が埋まってなかったからなのかも知れない。

 ヨッホ、がんばれ。


(了)

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ひとり遊びの覗き見に 真花 @kawapsyc

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