やさしい崩壊

final & prologue. 01

　まるで、最初から存在しなかったかのように、なくなっていく。全てが消えていく。

　心。

　心が、融けていく。そんな気持ち。

キスしたとき、そんな感じだった。2回目も。3回目も。これからもずっと。あなたと一緒なら。何度でも、心を融かす気持ちになれる。

「国語だな。次の授業は」

「ええ。数学がよかったのに」

「受けるか？」

「受けない。もうテストも受けてるし、授業としては取ってる扱いだから。日数もばっちりです。今すぐにでも卒業可能です」

「頭いいんだよな、おまえ」

「将来の夢は正義の味方です」

「まじか」

「うそです。正義の味方に興味はないです」

「なんだ嘘か」

「あなたの隣にいたい。それがわたしの、すべてです」

「じゃあ国語受けるんだな。俺は受けるぞ国語。たのしいし」

「ぐへぇ」