第53話 ヴァーサーカーズ
改めてリスタートである。
全探索者へギルド加入が義務化である。
そうなると必然的に…
「というわけで、第一回のギルド会議を始めますっ!!議長のララです。どうぞよろしく」
こうなる訳である。
ファミレスのテーブルを囲むのは、俺、ララとロロ、それに静月と早倉さん。
異常の発生したダンジョンから生還したメンバーだ。
ララたちからギルドを作ろうと言われた時は、10年後になどと返事していたが、今は大きく状況が変わった。
どうせギルドに入るなら気心の知れた仲間とという気持ちは理解できる。
もう1人のSランクレベル探索者である早倉さんも加入するということで、新ギルドが開設されることとなった。
ちなみに、各自のスキルやオリジナルスキル、武器、ステータスなどの情報はすでに共有されている。
元はといえば、このメンバーでダンジョンに潜ることになったのは、俺が【
早倉さんが説明をしたことで、ララたちも俺の異常な成長速度に納得したようだ。
「ギルドマスターは我らがお兄ちゃん、柏森麻央にお願いします」
「了解」
俺が快諾すると、パラパラ拍手が起こった。
ギルドマスターの仕事は色々あるが、さほど面倒くさいものはない。
「魔王」のギルドとなれば優秀なメンバーも集めやすいし、引き受けて損はないだろう。
「続いてギルド名は、みんなの案から決めましょう」
俺たちはそれぞれ、事前にギルド名の案を考えてきている。
アイデアをメモしたスマホを見つつ、ララから発表を始めた。
「1つ目、『とにかくめちゃくちゃ強いギルド』!!2つ目、『ヤバくてヤバすぎなギルド』!!3つ目、『ガチですごいよ魔王軍』!!」
う~ん…語彙力!!
ララだからまともなものは出して来ないだろうと思ったけど、予想の斜め上を来たな。
「全部没!!」
俺は早速、ギルドマスターの権力を行使した。
口をとんがらせて不満を表しながらスマホをしまったララに代わって、ロロが恐る恐る手を挙げた。
「一生懸命考えたんですけど、1つしか出ませんでした…。すみません…」
「いいよいいよ。一生懸命考えてくれたなら。で、どんなの?」
「はい。『魔王様と使い魔たち』をやっぱり推したいんです」
数か月前に「ダサすぎる」判定された名前を、再び持ち出してきた。
ララがララなら、ロロもロロで普通じゃない。
「そんなに気に入ってたのか」
「はい」
「いや、何か申し訳ないけど、没でお願いします…」
「私の時と反応が違うっ!?」
俺がロロへ頭を下げると、ララがほっぺを膨らませながら睨んできた。
「日ごろの行いの差だな」
俺はバッサリと切り捨て、今度は話を静月に振る。
「静月はどう?何か考えてきた?」
「う〜ん。考えてはみたんだけど、なかなか浮かんでこなかったよ。ごめん」
「そっか。じゃあ、早倉さんはどうですか?」
ふてくされたララに代わって、俺がどんどん話を進める。
早倉さんは一つ頷くと、スマホの画面を見ながら応えた。
「『ヴァーサーカーズ』というのはどうでしょう?狂戦士たちという意味ですが、それぞれがクセのある戦い方をする私たちにピッタリだと思います」
会議の場から、おお〜という感嘆の声が上がった。
「いいね。さすが菜々姉」
「賛成です」
「私も大賛成!!」
静月、ロロ、ララが相次いで賛成する。
まだ俺はアイデアを出していないのだが、ギルド名は「ヴァーサーカーズ」に決定したようだった。
おい、俺のギルマス権限はどうなってんだよ。
ただのダンジョン探索者ですがオリジナルスキルのせいで魔王と呼ばれています~スキル【複製転写《コピーアンドペースト》】でモンスターのスキルを習得しまくったら最強になった件~ メルメア@『つよかわ幼女』発売中!! @Merumea
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