涙が出るほど笑って感動した。

敢えて俗っぽい表現で本作を喩えるなら、これだと思う言葉がある。
『読む抗うつ剤』
恐らく元は「すっげーくだらなくて悩みとかどうでもよくなるバカバカしい動画」とかのタグだったと思う。

ならば「なえみやねこねこ大騒動!~マタタビ人間ってどういうこと!?~」がすっげーくだらないかと言えば、ある意味イエス。またある意味では、ノーである。

とりあえず頭を空にして軽い気持ちで読み始めていただきたい。
そうすればわかるだろう。マタタビ人間がいかに猫好きにとってクッソ羨ましい能力の持ち主なのか。
そして最後まで読めばわかるだろう。主人公キウイくんは単にマタタビの能力で猫たちに好かれるのではなく、彼自身のマリアナ海溝ばりの深い優しさと包容力ゆえに色んな人から愛されるのだ。

愛ってなんだ? 受け入れることさ。それがどんなカオスであろうとも。

正直な話、マタタビ人間とかねこみみ人間とかいぬみみ人間とかちょっと何言ってるのかわからないし、そういう意味ではすっげーくだらない。
基本変な人しかいないのでほぼ唯一の常識人たるキウイくんは終始ツッコミっぱなしである。朗読したら喉痛くなりそうだし、しかもツッコむポイントがいちいちシュールだったりして、気づいたら声を出してゲラゲラ笑っている。
よくわかんない流れで地球が滅びかけたり、なんかもう勢いとカオスでそれを止めたりする、秀逸なギャグコメディだ。ねこはせかいをすくう。

けれど時にやたらハッとさせる鋭い言葉が紛れ込んでいる。お陰でギャグ小説を読みながら感涙するというわけのわからない経験をさせられた。
もちろん悲しい涙じゃない。分類するなら嬉し涙だ。なんで嬉しくて泣いたのかって、……それはぜひ本編でご確認いただいたほうがいいと思うんだなあ。


とにかく言えるのは、本作は読むことによって精神的にも肉体的にもデトックス効果のある非常に実用的な作品です。
すっげーくだらなくてバカバカしくてゲラゲラ笑えて泣けて、読むと気分がすっきりして悩みとかどうでもよくなって、抑うつ状態が緩和されます。
しいていえば猛烈に猫を愛でたくなるという副作用があるので用法・容量を守って正しく服用してください。


最後に作者様へ。楽しくて幸せな時間をありがとうございました。
ハンサミィくんは永遠に私の推しです。災厄の仔に幸あれ!

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