同じ人を好きになる。
それは男の子も女の子も変わらないし、年齢だってこの時期だけじゃない。
でも、大人になり切れていない中学~高校時代は「友達」という都合のいい言葉を使いながら、なんとか自分に気持ちを向けてほしいと思う願いと同時にそれをすることで友達を失いたくないという気持ちを持つことは珍しいことじゃない。
もう少し大人になると「三角関係」という言葉で片づけてしまうかもしれないけれど、まだこの子たちはそこまで器用じゃない…。その二つの相反する気持ちの中で傷ついて何度も涙を流して…。
人を好きになること、好きな人を失うこと。それはどちらも人生のスパイスになるといいます。
今、友達と好きな人のどちらを取ればよいか迷っている人へ。
「あなただけじゃないんだよ…」って伝えたいお話です。
ご縁がありこの物語に出会いました。読み終えましたので、レビューさせていただきます。
本作は短編『隠し事』の続編です。まずはこちらをご覧くださいね。あまりは明かせませんが、これは親友と好きになった男への想いに揺れる、一人の女の子の物語です。
惹かれるのは、やはり心情描写。一人一人の想いが丁寧に、かつ明確に書かれている為、この子がどんな子なのか。今どう思っていて、どう気持ちが揺れているのか、とキャラクター達に寄り添いながら読み進めていくことができます。
彼女らの想いは、何も突飛なものではありません。誰もが考えて、願って、そしてちょっと欲張って。そんな当たり前な想いを持つからこそ、読み進めていった私は彼らに共感してしまいました。
全部が全部、上手くいく訳ではない。誰かは思う通りにならず、悲しむかもしれない。それでもと進んだ先には、新しい景色が広がっているから。私だけかもしれませんが、そんな小さな力強さも感じました。
思春期の彼らの、不器用でぶつかり合って、それでもと前を向いた物語。他の皆さまも是非読んでみてください。