毛並み、耳、鼻面、爪、尾――読んでいて「獣人がそこにいる」感覚です。
- ★★★ Excellent!!!
獣人を“かわいさ”や“異種恋愛の添え物”ではなく、戦争の道具として真正面から描き切った作品です。
毛並み、耳、鼻面、爪、尾――さらには臭いに至るまで、読んでいて「獣人がそこにいる」感覚です。
鎧が合わない、靴を履かない、人間の戦場に放り込まれたときに生じるズレに、説得力があります。
矢が刺さってもひるまない、といった描写も“強いから”で片付けず、身体性の延長として納得できるのがいいです。
戦闘もまた見どころで、武器より肉体が主武装。殴打、投擲、強引な突貫が多く、まさに獣人の戦い方です。
「強い獣人が無双する」だけでは終わらない苦さが、余韻を残します。