第2章 第二波襲来 感染は城下町へ ショッピングモールはないよ

 異世界の一般市民VS地球産ゾンビ

 感染症が始まった時に絶対してはいけないことは何であろうか?


 それは『感染が起こったことを隠蔽する』事だろう。

 独裁国家なら自分に刃向かう人間や不都合な事実は権力で隠蔽できる。


 だがウイルスには人間の権力など通用しない。


 偉い人間が「消えろ」とか「隠せ」と言っても消せも隠せもしないのがウイルスだ。

 これをやってしまってSARSを隠蔽したのが中国である。

 初動がおくれて国内に患者が増えてからやっとの事で各国にごめんなさいをしたのだが、その反省が生かされたかというと『コロナで死者一万人程度と公表しながら、発生源の地域の年金受給者が十五万人消えた』という報告を聞くと疑いたくなってくる。


 まあ、発祥地については『スペイン風邪』の呼び名が定着してしまったインフルエンザも、調べてみたら源泉は複数あったという話もあるので、


 …と書いておけば、実際に発生源が別の場所だった時に言い訳がたつと思う。


 ただ、中国で肺炎患者が増えて医者が警告したのに黙殺し、初動が遅れたのは事実である。


 このように感染症を隠蔽しようとするのは悪手である。


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 だが、ここはそのような教訓を得たことがない異世界。

 当然ながら

「ゾンビが起こった理由は不明」

 という事で異世界からの召還後に起こったとは語られなかった。


 なので国民は普段通りに生活し、

 普段通りに町で商売を始め、


 感染したゾンビにおそわれた。


「うわぁぁぁぁ!!!!!」

 突然市民を襲い始める兵士たち。

 昨日、王宮でゾンビを退治した服のまま、手も洗わずに食事をしたり噛まれた状態感染確定状態で食事を回し食いした人間たちだ。

 中には鎧を着たままで、兜まで装着していたので外から見たらゾンビとはわからないゾンビまでいた。難易度高すぎだろう。

「何だ!いったい何なんだ!!!」

 肩を捕まれ、ゾンビから噛まれそうになる商店の主人。

 だがこのゾンビは前面まで覆われた兜を着けていたので、

「ギャア!痛い!やめて!!!ゴアッ!!!ガッ!!!!」

 噛まれはしないものの、何度も顔を鉄兜に叩きつけられる。

 余所物にぼったくり価格で商品を売る程度の小悪党商店主人は、潰れたトマトのように血だらけの顔となってもまだ兜に頭を叩きつけられていた。


 他の場所でも、町中にゾンビが現れるとは思っていなかったので初回の攻撃で5人の被害者が出た。

 しかし

「おい!どうした!」

「ゾンビが出たんだってよ」

「なんだ。ゾンビかよ。おい、道具部屋からバスターソードもってこい」

 警察機構が未熟で、一般市民も兵隊として戦う この世界。

 一般人にとってゾンビとは、猟師にとってのイノシシや鹿程度の驚異でしかない。

 オーガやオークが熊と同程度である。


 一対一なら驚異となるゾンビでも周囲を取り囲まれてはたまらない。

「AAAAAAAAっ!!!!」

 一人にねらいをつけて歩いている所を、たちまち数人から取り囲まれ、後ろからハンマーで頭を砕かれ、横から剣で首をはねられ、倒れたところを数人がかりでとどめをさされた。

 他の所もだいたいこんな感じである。


 ■一般市民VS地球産ゾンビ

 勝者;一般市民 勝因;集団的暴力


 この時代の市民は凶暴なのである。


「びっくりしたなぁ。急にゾンビが出るなんて」

「まったく、こんな雑魚モンスターがよくここまで入ってこれたなぁ」

 と突然のハプニングに驚きながらも、一般市民は顔についた血を拭いて元の作業に従事しだした。


 手も洗わずに。


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 今回、コロナ関連の本を読んでたら

 中国で発生した肺炎SARSの時には人間の糞からウイルスが検出されたそうです。

 この時のトイレのエアロソゾルによる感染もあったというので、公衆トイレ使用後はしっかり手を洗うことは必要だし、なるべく立ち寄らない方が良いと思いました。

 感染予防には手荒いうがいが大事だと再認識しました。

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地球産ゾンビ 異世界に行く ~防疫観念の存在しないファンタジー世界でゾンビウイルス無双~ 黒井丸@旧穀潰 @kuroimaru

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