第11話 不気味な影

「兄さまと久しぶりにお食事をとれてうれしいです」


今、俺はブレンダと夕食を取っている。今まで一緒に食べれる時間がなかったからなのか、話題が尽きることがなく最近あった面白いことから、俺が働きすぎて倒れるんじゃないかと心配だということまで幅広い話題がのぼった。


特に最近働きづめだったから心配をかけていたみたいだ。


言われてみれば朝から晩まで働き詰めだった。


その中で俺は領都にある幼年学校に通わないかと提案してみる。


「ブレンダ、そろそろお前も学校に通う年齢だ。領都にある幼年学校に通ってみないか?そこでできる人脈は役に立つだろう」


帝国は内戦状態になっているが弱小の小領主たちは子供だけでもあるべく安全な場所にいてほしいということからこの領にある学校に下宿させて通わせている。


ある意味、疎開だな。


「わかりました。兄さまの役に立てるように頑張ります!」


俺から頼みごとをされることがないブレンダは嬉しそうにしながらもやる気に満ち溢れている。


「学校のことはこれでいいとして、今度はブレンダの近況が聴きたいな」



ブレンダと食事をとった日は残っていた書類が少なかったこともあり30分ほどしたら寝ることができた。


――3日後


この前決定された通りに作戦が実行され敵がどんどん殲滅させていっている。


1番大きな戦力が集まっている西方方面軍が戦っている戦場が終わったことが大きかったのか、敵の士気が崩れそこを突くことで一気に敵を殲滅できたのだ。


国境での戦いはこちらの勝利だったがこれあらそれぞれの領都に攻め込んで降伏、または当主を打ち取る必要がある。


事前の調べでは今回の戦いで出てきた戦力はそれぞれの家の約6割強の戦力だった。


残り3割ほどしかいない敵だが油断なくいこう。


追い詰められた敵ほど何をするかわからないものはない。


最悪、こちらもろとも自滅という選択もある。


軍司令部ではこの戦いで1番戦力を使い、消耗していると予想されている西方から攻めるべきという案が強い。


この戦いでわかったことがある。


敵の武器を鹵獲して解析したんだが、この武器は巧妙に隠蔽されていたがソシラン連邦で生産されている者だった。


連邦の影響がここまで伸びてきているのは非常にまずい。


何せここは比較的、帝国の中心に近い場所にある。


いくら帝国の中心である帝都が占領されたからと言って、もう帝都からは敵は撤退している。


今、外面上帝国を支配しているのは皇族の血が入っている公爵家だ。


この家が他国の影響を徹敵的に駆逐したはずだったのだ。


内戦状態で他国の介入を受けやすいからと言ってこんな短期間にあり得るのだろうか。


俺は執務室でうんうんとうなりながら仕事をこなしていると事態に動きがあったようで俺は軍司令部に呼び出された。


――軍司令部


「まさか分家どもが西に固まっていたおかげで戦争が終結するとは思いませんでしたな」


軍司令部では都合よく一まとめになっていた敵を倒し、予想より早く終結したので驚いている。


こんなに都合よく敵がひとまとまりになることはあり得ない。


戦力を集中させ、俺たちを各個撃破する作戦だったと言われればそれまでだが、今回戦った相手は俺の戦力をある程度把握している者たちだ。


報告書を読んでいると何者かに誘導されたような動きで一か所に集まっている。


このことがちょうど議題に上がっており、調査をすることになった。


不安が残る結果だったが、一応は終戦だ。



防衛戦争が終わり、敵の首領を捕まえようとしたが敵領都にある屋敷に到着したころには4つの分家の者たちが全員死んでいたそうだ。


こいつらが死んでいたところには不審な点が数多く残っており、彼らとつながっていた何者かが殺害したとみている。


やはり最初に上がっているのはソシラン連邦だろう。主義思想が相容れることもなく、帝国がまだ健在だったころからちょくちょく戦争をしていた。


一番の仮想敵国だったのだから警戒するべきだ。


それはそれとして、分家が離反した結果、俺の手を離れていた領地が帰って来た。本家が持っていた領地を分家に貸していたというのが正しい表現なのだが、俺の改革には参加していなかった場所なのだ。


改革をしていないのでここからはたくさんの利益が見込める。


そして、元の領地に戻ったのでルドルフ男爵領と隣接することができた。今までは分家に根回しをする必要があり、隣接もしていなかったので思うように支援をできなかった。


これからは今まで以上にルドルフ男爵領との関係を強化して今回起こった分家との戦争の黒幕に対して対策してく必要があるな。

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異世界貴族転生記 あかぶ @AKABU3

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