戦場のダンデライオン

　この戦いは無意味そのものだった。ただ、彼に会ったことを除いては。
　ヴィスペルド帝国。貧富の差が激しく、異人種の奴隷制度も公に認められていたそこは、軍事国家であるバイロ連邦と戦争中だった。圧倒的な力を前に、劣勢にあった帝国軍は急きょ開発した弾丸兵の奏功により攻防戦を維持していた。
　激動の時代の中、兵器を造り、それを売ることを稼業としていた武器商人の少年シード・ステイクは戦争の加担者としてその報いを受ける。幸い帝国軍に命を拾われるが、その代償として軍入隊の協力を乞われる。その内容は新たな搭乗兵器の実用化はじめ、連邦軍が制圧したミッシェル海域の奪還、そして弾丸兵の少女バレット・エイトをその海域内に位置する"孤島"に連れていくこと。
　地獄の前線の先に待つのは死か、それとも――種族が異なるふたりの戦いの物語が、始まる。