第3話 記憶を失った少年
「おはようございます」
表情を柔らかくして挨拶をするのは今年試験に合格し、特級部隊へと配属されたセトだ。新入りということで初々しさが滲み出ている。
俺はバレないように異能力を使い彼の情報を見抜いていった。
〇セト
年齢──十九歳
身長──一五三センチ
役職──「蒼の国」特級部隊
得意──言霊
備考──記憶喪失
彼は記憶喪失となりカミヤに引き取られ、そのまま特級部隊に入った。同期のトヨとよく一緒にいる。
「敵襲だ!」
突如として鳴り響く非常音。
俺らは臨時体制を取る。
王都で敵国「碧の国」が放った兵器、厳密に言うと「蒼の国」に潜入しているスパイがこの国の兵器を秘密裏に王都へと放ったのだ。
兵器は"ゼリグロム"という人間の型をしたゼリー状のモンスターである。カプセルを割ると三匹現れる。戦闘力が高く倒すのにも時間がかかる。
俺らは武器を手にして王都へと入った。
「敵は数体のゼリグロム。覚悟してかかれ」
了解と口ずさむ。
数体の敵を分担して挑む。俺はセトとともに一体のゼリグロムと向き合った。
「さあ、戦闘開始だ」
俺は前傾姿勢を取り、セトは剣型の武器を敵に向ける。
ゼリグロムは人型から化け物みたいな形に化けていく。そして、俺らを睨む。
そいつは人間を見つけると否や分け隔てなく襲いかかる。変形する腕を振り回してきた。
『設計変更』
セトの持つ剣は斧に変わる。
斧が腕を切り落とす。
『設計変更』
斧が槍に変わる。
槍がゼリグロムの胸を突き刺した。人間ではないのでそこを刺して死なない。
セトは特殊な武器を使って戦う。魔法を使って剣や斧、槍など様々な武器に変形させて戦うのだ。
ゼリグロムは
さて、セトばかしに戦いを任せてはいけないな。俺も戦わなければ。俺の瞳は敵を捉えた。
「さあ、俺の攻撃を受けてみな」
脳あるスパイは正体隠す ~スパイとして潜入したけどそこの全員が裏切り者だったってどういうこと?~ ふるなる @nal198
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