月夜に咲く陽花

　子供から大人に変わっていくことは、生きてる以上必ず起こることで、その全員にとってきっと怖いことだよなあと思う。自分のような知らない何かに変わっていくこと、恐れないなんて言う人がいるだろうか。

　高校二年生になったばかりの木村陽花（きむらひばな）は、一学年年上の先輩、鈴木月（すずきつき）と付き合っている。
　二人が付き合い始めて大体半年くらい、陽花にとって月はかけがえのない存在になっていた。
　だからこそ考える。あと一年で卒業しちゃうんだよなあって。
　何にでも終わりがあって、何でも変わっていく。それが楽しいことであればその分、変化に対する葛藤も大きい。
　一学年年上の先輩はその一年分早く卒業する。そんな当たり前のことにいまさら気がついた陽花は、そんな当たり前のことにいまさら悩み始めた。
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