企画入賞レビュー「どちらかの都合だけでは」


男女の関係ってややこしいですね。ましてやそれが遊びの間柄ではなく結婚を意識した二人だと猶更に。ただ好きなだけでは思い描いた通りに上手くいかない事だってある、そんな真理をハッキリとわからせてくれる大人の恋愛小説です。

さち子と彼氏の間には大きな認識のズレがありました。
そのズレはどこから、いつから生じたものなのか?
ハッキリとした直球の答えは書かれていません。ただ、ヒントとなる描写が少しずつ積み重なっていき、最後に恋の行く末が示されるだけです。

うん? ちょっと待って、それは確かにヤバいぞ。
素直になれなかった私が悪いの? ごめんね? 
本当にそうなのでしょうか。信頼というのは日々の行いによって徐々に築かれていくものなのでは? 信頼が蓄積されるものならば、不信もまたそうなのでは?

綺麗ごとだけで育まれる絆などない。もしかすると、それが判っているかどうかで人生はまったく別のものになるのかもしれませんね。
世の男性方はご用心を! 女性はしっかりと見ている。つまりはそういう事なのです。
これは読む人によって、感想がまるで違ってきそうですね…私には上記のように思えました。そう記しておきましょう。