企画入賞レビュー「僕たちはネットに夢を託す」


これまで読んだカクヨム作品の中で、最も私を泣かせた作品かもしれません。美しく、残酷で、儚く……だからこそ価値があるものです。

クリエイターの卵たちは皆、作り出した物をネットに託そうとします。そこが最先端であり永遠に自分の芸術を残せる場所だと信じて。しかし、本当にそうなのでしょうか? 流行はあっという間に過ぎ去っていくものであり、盛者必衰は世の定めだというのに。本当にネットだけが世の無常から解き放たれた「永遠」を保てるものなのでしょうか?

これは遥か未来から過ぎ去った伝説を拝見する物語。
ちょっとした好奇心からこの世の真理を学ぶことになった少年のお話。
過去の栄光を語る伝説たちはみな楽しそうで満足気でした。わかります、貴方たちは立派なお墓を残すことが出来たのですから。誇っていい、私がカクヨムに来た動機も「立派な墓を作りたかったから」です。昔、近況ノートにそんな事を書いた記憶が蘇りました。

お待ちしていました「在野の天才」さま。
私はきっとアナタ方の作品と出会いたいが為にこの企画を続けているのです。
今となってはしがない墓守(あるいはグールの類か?)の一人でしかない私ですが、この作品にはひざまずいて とびきり素敵な花束を手向けてあげたい。
そう思いました。残念ながら私の中にこれ以上の賛辞はありませぬ。