絶望の咆哮

一人の命を取り巻き、残される者、残された者の心理を追うストーリーです。私は以前、老人が亡くなる話を書いたことがあり、その際、ある人から「人、殺したらあかんわー」と言われました。簡単に人の死で同情や感動を得てはならない、という意味でしょう。この物語は違います。「死の利用」はありません。どこかドライで良い意味で暴力的とも言える文章が、やり場のない怒りを伝えます。多くの方に手に取っていただきたいので狙ってレビュータイトルに絶望と入れましたが、絶望のエンディングの先に何かあって欲しい。そう想像させます。軽く楽しい綺麗事ばかりじゃなく心の足掻きや負の面の叫びも読んでみたい、という方にお薦めします。