【カクコン・フラッシュバック】第4~6回
◆第4回カクヨムWeb小説コンテスト
第4回は応募総数3708作品で、前回からまた増加しています。
部門設定は第3回と同じなので割愛。
そしてまたも大賞なしの「ホラー・ミステリー部門」であった……
しかし、この回は特別賞が尋常じゃなく多いですね。書籍化作品の数で言えば過去最多と思われます。
この年は、わたしがカクヨムで本格的に活動をはじめた年でもあって、この頃から他の書き手さんを徐々に意識するようになってます。
周りが「カクコンだ。書くぞ」って雰囲気になってくるので、前年までと比べてもコンテストへの関心が高まってますね。
このコンテストの少し前、メンをヘラってクリニック案件になっていたんですが、開催時期にはゆるやかに回復しはじめていて、何作か連載を追っていた記憶があります。
記憶はあるんですが、評価を残してなかったらしく、はっきり読んだという記録があるのは「浮遊する僕らと要塞のファンタジア」くらいなんですけど。
けっこう大作で20万字を超えてるんですが、連載を追う形で読んでたので気づいたら最終回だったという感じですね。
王道なボーイミーツガール×ファンタジーという感じで、ラノベというよりはジュブナイルの色合いが濃い作品かなあと。
ファンタジーではありつつも、そこに生きるのは現実世界と変わりない人間ということを強く感じさせてくれる作品です。ファンタジーではあっても、けっこう身も蓋もないことが起こるというか。
この世界にはこの世界ならではのエネルギーとかジェンダーの問題があって、それは個人の力ではどうしようもないし、個人と個人のミクロな関係性においても絶対とか永遠なんてないという無常観が強くて、「人生」と一筆書きたくなるような内容でした。
そういう話なんですが、最初にデデンと巨大な敵が出てくる絶望感と、それを撃破する手続きにはヒロイックなカタルシスがあります。その間に多彩な具材がサンドされてる感じですね。
「浮遊する僕らと要塞のファンタジア」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887414439
◆第5回カクヨムWeb小説コンテスト
第5回は応募総数4724作品で、前年からドカンと増えてますね。
この年はカクコン体験記の連載が多かった記憶があります。それに影響されて、わたしも「空想体験記」という連載をはじめたりしました。長編は書けたのかって? それは訊くな。
この回からなんて「ホラー・ミステリー」の文言が部門名から消えます。前2年大賞なしだったので、まあそうなるかというところなのですけど……
「キャラクター文芸部門」が両ジャンルの受け皿になっていました。
なお、この年限りの部門に「SF・ゲーム部門」というのがあったんですが、これも大賞なしで終わってます。
この頃には書き手の知り合いも増えてきたので、読了作品も多めになってます。
「青い鳥」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892415862
恋愛部門の現代もので、一般文芸寄りの作品ですね。
レビューにも書いたんですが、主人公たちの何かどこかが欠けた感じ、満ち足りない感じが普遍的な共感を呼ぶ作品ではないかと思います。
「ローカル・キラーズ」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054892546427
人間視点で見ると、悪VS悪の話なんですが、人間は出てこないので問題ありません。倫理を超越した存在の戦いなので、やりたい放題ですね。それでいてバトル自体は論理的に決するのがジョジョファンらしいところでしょうか。
「僕たちの帰り道」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054887228491
現代恋愛。硬軟のバランスがちょうどよくて読みやすい作品です。
なんといっても舞台となる架空の街の作り込みがすごくて、世界に引き込まれます。けっこうコミカルなんですが、緻密な描写ががっしり受け止めてる感じですね。
「不良と地味子とボードゲーム」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889103481
各章ごとに異なるボードゲームを扱った、ゆるい青春コメディ。ボードゲーム初心者の主人公が一からルールを覚え、ゲームにのめり込んでいく過程が丁寧に描かれています。
「プレアデスの鎖を解け」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054889627840
恋愛ジャンルなんですが、ファンタジー、バトル、ミステリの要素もある大作です。この作品はコンテスト期間中には完結しなかったのですが、1章の時点での完成度が高くて引き込まれます。
◆第6回カクヨムWeb小説コンテスト
前回も触れましたが、なんと応募総数7188作品。前年から2400作品増という、最大の増加幅です。
部門として注目すべきはやはり新設の「どんでん返し部門」で、これも大賞なしに終わったのですが、今年はどうでしょうか。
「なっちゃんのひみつ~お義兄ちゃんは特別」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054934672283
現代恋愛。中学生主人公ならではの初々しさと、世界の狭さ。ちょっとした出来事に揺れ動く心情が切実に表現されている作品です。
「夢か現か、それとも恋の物語。」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054894734246
なんと言っていいのか、かなり変則的な作品です。メタフィクショナルな創作賛歌であり、モラトリアムな青春小説、とでも言うのが妥当でしょうか。
2人の主人公、2つの世界を行き来する形で進行するのですが、それが相互に補い合う関係になっていて、つかず離れずの距離感で最後までもつれ込む、そんな話です。
これもずっしりとした「人生」の手応えを感じる作品ですね。
「見習い天使はそこにいる!」
https://kakuyomu.jp/works/1177354054922344013
コミカルな現代ファンタジー。ある方向性に突き抜けた人間主人公と、存在がファンタジーな天使主人公でうまいことバランスが取れてて読みやすい作品です。ギャグに振り切れたディテールも愉快。
「魔月恋月 〜をとめの恋は月下に咲く〜」
https://kakuyomu.jp/works/1177354055083412973
ちょっとパラレルな明治時代が舞台の和風ファンタジーロマンス? って感じでしょうか。
その時代の空気感の演出と、小道具の使い方が見事で、単純に小説としておもしろかったです。
◆まとめ
まとめというほどのことでもないんですが――
ここでタイトルを挙げさせてもらった作品はたしか全部読者選考を通過してるんですよね。たしか、ですけど。
そういう作品を選んだわけじゃなく、たまたま、というか、まあ必然的にというか。
読者選考の通過基準はブラックボックスで、部門にもよりますが応募作のうちだいたい10%が残るらしいですね。
残りの90%には期間中10万字に届かなかった作品も含まれているので、これを狭き門と取るかどうかの判断はむずかしいところですが、やっぱりそこは通って行きたいなあと。改めて思いましたね。
なので、重要なのはやっぱりまず一にも二にも「完結」。これですね。
また最近、自信を失って全然作業できてないんですけど――
今年は体の調子もよくないので、どうしてもだらだらしてしまいます。
アラサーにもなるとこんなものかなあとも思うのですが、だとしたらもうちょっと生き急がないとなあと。
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