【カクコン・フラッシュバック】第1~3回

◆はじめに


 今回は過去のカクコンをちょっと振り返って行こうと思います。


 といっても、わたしが直接参加していたわけではないので、他の方の作品に触れながら簡単にまとめていく形にしようかなと。


 初回は第1~3回ですね。


 カクヨムの開設と、第1回カクコンの開催が2016年初頭で、以降は毎年年末に開催という形になってます。


 つまり、今回取り扱うのは2016年から2017年までですね。


 わたしは2016年にはもうカクヨムに登録しているので、第1回からずっとカクコンを見守ってきたことになります。

 というか、ずっと見てるだけだったんですが、特に第3回あたりまではあんまり作品を読んでないので語れることが少なく、こうしてひとまとめにすることにしました。



◆第1回カクヨムコンWeb小説コンテスト


 記念すべき第1回ということで、応募作品は5788作品あったそうです。


 当時は短編部門もなかったので、長編だけでそれだけ集まったってことですね。


 カクコンは前回第6回が最多応募数を記録していて、それが7188作品なのですが、それに次ぐ応募数です。


 公募で最大規模とされる電撃大賞もたしか応募数が7000くらいで、当時はもうちょっと少なかったので、だいたいそれと同じ規模ですね。


 Wikipediaを見ながら書いてるんですが、当時の部門設定がちょっと意外で、「異世界ファンタジー」と「現代ファンタジー」は「ファンタジー部門」にひとまとめにされており、「恋愛」、「ラブコメ」も同じ「恋愛・ラブコメ部門」、逆に近年ではひとまとめにされることが多い「SF」、「ホラー」、「ミステリー」、「現代ドラマ」がそれぞれ独立した部門になってるのが何だか隔世の感があります。一番驚いたのが「現代アクション部門」というのがあることで、これはまったく記憶になかったです。


 元々、わたしがカクヨムとかカクコンを知ったのはTwitter経由で、フォロワーの方がカクコンに出すぞってことでそれを読むために登録したのが最初でした。


 そのフォロワーの方の作品が「ジャンピング・ジャック・ガール」という青春ミステリで、ミステリー部門ではかなり勢いがあった作品でした(なお、この年のミステリー部門受賞作は「うさぎ強盗には死んでもらう」)。


 わたしもこの作品には長文のレビューを書いているのですが、ネタバレ上等の内容なので、ここではちょっと別の切り口から振り返ってみようと思います。


 あらすじ等は省略しますが、構成としてはオーソドックスな青春ミステリといった趣の作品で、1話で事件、そこから警察の捜査に疑問を持った少年少女が独自に事件を調べはじめるという感じです。


「ミステリー」という言葉から想像される内容を裏切らないわかりやすさがあるので、あらすじから興味を持った方はそのまま最後まで読めるだろうなと。

 

 冒頭からして小説としてうまいので、引き込まれるんですよね。物語とは欠落の回復である、という話は度々しますが、1話の段階でその欠落が描かれているので。


 そういう王道の堅実さがある作品なのですが、ミステリなので、やはりひねりがあり、それが物語構造的にダイナミックな転換となっていて、青春小説の趣を深めているのがうまいところです。


 どこぞの高校生探偵と違って、この作品の探偵役2人には年相応の未成熟さがあり、それが物語を大胆に転換させているなあ、と。


 第1回は他に「愛原そよぎのなやみごと」という作品を読んでます。これは特別賞を受賞してスニーカー文庫で出版されてる作品ですね。


 物語構造がけっこうユニークで、ラブコメ的に言えば主人公とヒロインがだべってるだけなんですが、このヒロインが実は魔法少女で、だべりの内容も「時間停止などの強力な力を持った敵をいかに倒すか」というものなんですね。

 ゲーム感覚で能力バトルの攻略法を話し合ってる感じです。


 ラブコメというガワの内側に能力バトルものというアンコが詰まっててそれが直接は描かれない間接性がけっこう好きでしたね。


「ジャンピング・ジャック・ガール」

 https://kakuyomu.jp/works/4852201425154887061


「愛原そよぎのなやみごと」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880201062



◆第2回カクヨムWeb小説コンテスト


 第2回の応募総数は2690作品ということで、第1回から半減してますね。


 それもあってかSF、ミステリー、ラブコメの各部門が大賞受賞作なしという結果になってます。これは現在の流れにつながる結果ですね。でも、人気ジャンルのラブコメまで大賞取ってない年があるのは意外でした。


 この年から「異世界ファンタジー」と「現代ファンタジー」、「恋愛」と「ラブコメ」が独立した部門になってます。


 第2回からは年末開催になって、翌2017年まで選考が続くのですが、この年は「ジャンピング・ジャック・ガール」の続編「スクール・マーダー・フェスティバル」くらいしか読んでないと思います。


 青春ミステリ――それも深刻な事件を扱ったものって続編を書くのがすごくむずかしくて、「市井の高校生がそう何度も事件に巻き込まれるのってどうなの?」いう問題に必ず突き当たるんですよ。


 コ○ンみたいな半ば職業探偵でも、その辺よく突っ込まれるわけですが、この作品は前作とは切り口を変えてきてて、前作とはまた違うおもしろさがありました。


 それでいてやっぱり、プロット上のひねりもあって、そこはミステリとして練られているなと。


「スクール・マーダー・フェスティバル」

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880456385



◆第3回カクヨムWeb小説コンテスト


 応募数3088でちょっと持ち直してますね。この回はけっこう大胆な部門再編があり、「SF」と「現代ファンタジー」が統合して「SF・現代ファンタジー部門」となり、「ホラー」と「ミステリー」は「ホラー・ミステリー部門」になり、そしていまや定番の「キャラクター文芸部門」が初登場します。


 部門設定は前回(第2回)の内容を受けたものでしょうから、まあわからなくもないです。


 そして、それでも「ホラー・ミステリー部門」は大賞受賞作なし。


 おもしろいのが「ラブコメ部門」の受賞作でいまや人気シリーズとなっている「継母の連れ子が元カノだった」で、この作者さんは過去にミステリー系の作品で別レーベルの新人賞を受賞しているんですよね。


 その受賞作が『ウィッチハント・カーテンコール』という作品で、ファンタジーミステリのキモを押さえた良作だったんですが、まさかのラブコメで大ブレイクです。

 作中でミステリ作家への言及があるあたりはさすがですが、ミステリを書くのは大変なんだなとも思わされます。


 ただ、この回は「継母の~」も含めて、最後まで読んだ作品がないんですよね。


 なので今回はここまでです。次回は第4回以降を振り返っていきます。

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