作品内容につきましては、他者様がレビューで褒められている通りなので…私は内容ではなく個人的な感想を書かせて頂きます。

二つの世界が折り重なって進みます。全く違う世界なのに、同じ状況がその世界ではこの様な事件になるのか！？と違和感なく自然な繋がり方がとてもお上手だと感じました。
また、文章の方も…情景を説明するのに「ただ説明を読んでいる」と言うより、読んでいるだけでいつの間にか自分もそこに居る様な感覚になっていました。自然に物語の世界に惹き込まれるのです。「説明を読む」と言うより「いつの間にか案内されている」様な感覚なのです。

ストーリーが構成巧い、文章も巧い、読者様の惹きこみ方も巧い…。そんなオススメの作品です(>_<)！

ファンタジー小説を書く人のなかには、一度は、自分が生きるこの世界も、だれかが創り出した創作の世界なのではないか……なんて考えたことはないでしょうか？
こちらはそんな想いが物語になったような作品です。
エリナとアキトの世界と、絵里奈と秋人の世界、それぞれで生きるエリナと秋人の物語。
エリナは秋人の物語を描き、秋人はエリナの物語を描いている。
二つの世界が、どこかで交錯して、どこかで成長していく。
読んでいて、不思議な感覚になってくるかもしれません。
あれ、これどっちが現実なんだろうって。
ぜひ、ご自身の目で読んで、体感してみてください！

最後にはきっと、二つの世界と二人の主人公を応援したい気持ちになるのではないかと、思います。

並行する世界の人物どうしがお互いを書き合うという、ユニークな発想に惹かれて読み始めたのですが。その独特な展開に目を奪われるだけでなく、「分かる、こういう気分」という不思議な共感が続く作品でもありました。

小説の書き方、物語の創り方は人それぞれですが。「キャラが動く」「世界が見える」という感覚を味わっている人は少なくないでしょう。あるいは、誰かの作品を読んで「自分の中でも彼らが生きている」という感覚を抱くこともあるでしょう。
そんな、「たかがフィクション」では割り切れない不思議な心の動きを、ファンタジー的な構造で表現したのがこの作品だと感じました。
キャラが勝手に動くのは、その世界で彼らが生きているから。自分の中で息づくのは、心にひとつ世界が出来たから。
あるいは、偶然で割り切れない人生そのものすら包括するような物語でした。生きる中で、導かれるように行動するのは、導かれたように縁がつながるのは、誰かがそう描いたから。もしそうでなくても、誰だって誰かに願われながら生きていると思うのです。

本作のように、不思議な関係でつながる異世界がないとしても。僕らは確かに、世界を創って命を吹き込んで、誰かと分け合っていく。ともすれば魔法のように不思議な、創作を巡る心の在り方を、改めて浮き彫りにするような作品でした。読む人には勿論、書く人にはエールとなること必至の作品です。

勿論、並行する世界… 続きを読む

非常に文章も良く、世界に引き込まれます。
それだけに切ないですね。

ああ、出来うるならば、幸せになって頂きたい。
もう誰も傷付かずに。・゜・(ノД`)・゜・。

水瀬秋人は、亡くなった恋人絵理奈を想いながら、物語を書く。その物語の中でエリナ・エルシフォードは、亡くなった双子の弟を想いながら、物語を書く。水瀬秋人の物語を。

こう書くと、どっちが現実でどっちが物語か分からなくなりそう。ですがタイトルに夢か現かとあるように、その境目は非常に曖昧なもの。どちらの世界でも、確かに笑い、悩み、誰かを想う。そんな、決して作り事では片付けられない強い思いに溢れています… 続きを読む

恋人の絵理奈に先立たれた大学生、水瀬秋人。彼は物語を書く天才だった彼女の意思を継ぐかのように、小説を書き続ける。
異世界を舞台とした、エリナ・エルシフォードという名の公爵令嬢の物語を。

そして異世界、フローレンス王国に住むエリナ・エルシフォード。
引きこもりな彼女の趣味は、小説を書くとこ。どこか遠い世界に暮らす、水瀬秋人という青年の物語を、彼女は書き続ける。

別の世界に住んでいる二人が、お互… 続きを読む