泣き声の平和

@hitotsukishi

プロローグ — 満月の夜、雪がふる森の中

 満月まんげつ。雪が降り続いている夜。

 大きな森の中に一本の木から一本の木へ次々と渡り、少女は追われて走る。少女は目的場所もくてきばしょがなく、視線もぼんやりだ。少女の後ろからはいくらかの足音と共に、いくらかの狩り犬がワンワンする声がする。

 時間が流れ、雪が厚く降っていき、激しい吹雪ふぶきが現れ、空気は悪くなるのを少女は分かる。だが、少女は走り続くしかないんだ。

 視線には、すべては木であり、輝いている光が一つも見えない。都市もじゃなく、一つの家も前の視線にはない。

 保護を見つけるよう願う希望を心臓に持ったまま、少女は息を呑み、吐き出す。突然、なにかに遮られて倒れた。痛みを感じている間、目を開き前に視線を向ける。少女は目を丸くする。目の前には、青く黒く赤い次々と色を変えて暗闇の夜の空に輝いている星々に似たように先端を誰も知らぬ輝いている半透明な氷壁が立っている。それで、少女はこの向こうに超えないことは気がつく。

 後ろには、足音と狩り犬の声と混じった続いている声は近くなるのがする。少女は怯える。現、声が近い。五十メートルくらいだ。体を一度も動かさず、瞼を閉じ、誰かに助けられるように必死で願う。だが、真実は少女の希望と逆だ。

 何もしないまま、となりにはいくらかの狩り犬が突如に現れる。あの犬たちは、彼らの飼い主を呼び出さるように、ワンワンと声をし始める。彼らの声はこの森を崩れることが出来るような大声。

 もちろん、彼らの隣にいる少女は自分の耳がどうなるのか誰もわからないほどだ。彼らの声のため、いくらかの木が倒れる。それは通常の狩り犬じゃない。それは能力を持ちそうな鍛えられた狩り犬だ。少女はこんな怖いことを感じたことがない。こんなことが起こったことがない。なぜか、こんなことを、と。彼らという犬たちが少女へ足を動かすとき、少女はふと、分厚い雪に覆われている正面から身体を起し、犬たちから走り出してみる。

 木、木、あとも木だ。何本も知らないまま、どれくらいのメートルも知らないまま、少女は自分自身を助けようとして必死で走り出す。無論、かれらも追い出してみる。でも、彼らの足が速い。余りにも速い足だ。その足は少女と比べ物にならない。少女はそれを知っている。でも、ここで諦めることは一度も考えないで、と。これは一つの理由だ。

 傷口の痛みを感じ、行方を数回変え、足が止まる意図もない。今は吹雪だ。その事実のおかげで、50年前の残した塹壕が雪に分厚く覆われるというのは可能がある。塹壕を見つかってあそこに身体を隠すということは少女の願いだ。空が暗い。星が明るい。希望と真実の違いはこの二つのようだ。突然、目の前では、塹壕みたいな坂が見える。なんとか、少女は少し安堵してあそこへ近づいてみる。

 そして、少女はあの塹壕に飛び込みことにする。スプラッシュウォーターの音が鳴り、少女は瞼を開いてビックリする。これは残した塹壕じゃなく、非常に深い水源だ。なぜそんなことは、と。

 身体が深い水源の中で、最低にゆっくりと落ちる。少女の残るため息はもう少ない。新たなため息を呑むのはもう出来ない。視線も、もう透明じゃなく、ぼんやりになっていく。

 なぜこんなに?

 なぜ私はそんなことに巻き込んだの?

 なぜ私の終焉は苦しいの?なぜ平和の終焉じゃないの?

 なぜ私の肺はもう動けないの?

 少女はそれらを『自分』に問いかける。

 でも、私は嬉しい、あの犬たちに食われるための死からの逃亡、少なくとも、私の死は苦しみを感じるべきじゃない、こういう終焉なんて美しい、と。

 そのあと、身体は最低の場所に着き、美しいのように、少女はもう。そのはずだった。

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