きゅうりキライ。

きゅうり

　ぼく、きゅうりきらい

　だって　クワガタの　においするもん

　でも　ダンボールに　きゅうりが　たくさん　　

　お母さん、スーパーで安売りしてたって　買ってきた

　今日のご飯、絶対きゅうり

　きゅうりのステーキ、きゅうりのスープ、きゅうりのパンだ

　ぜったい　そうだ

　きゅうりのこと考えてたら　頭の中もきゅうりづくし

　忘れよ忘れよ　きゅうりのことは忘れよ

　このまえ　お父さんが買ってきた　風船で遊ぼ

　ぽーんぽん、ふーわふわ

　おっと　風船　きゅうりの上に着地した

　きゅうりさん　ごめんごめん

　きゅうりさんの味はキラいだけど

　風船キャッチしてくれたんだよね

　優しいね　ありがとう

　風船返してね

　風船を受け取ったそのとき

　ふうせんがおっきな音をたててわれた

　うわー　うわー

　ひどいひどい

　きゅうりのことなんてますます嫌いになった

「きゅうりはトゲトゲがあるから割れちゃったんだね」

　お母さんはそういった

　きゅうりってトゲトゲあるの？

　そんなのぜんぜん知らなかった

　だってご飯にでてきたときは

　トゲトゲなんてしてなかった

「それはね、食べやすいようにトゲトゲをとっているんだよ」

　お母さんが教えてくれた

　それもぜんぜん知らなかった

　ぼくはいつもきゅうりを残す

　でもお母さんは

　いつもトゲトゲちゃんととってたんだ

　それをぜんぜん知らないぼくを

　きゅうりさんが怒ったんだ

　今日のご飯にきゅうりがでたら

　ひとくち食べてみようかな

　クワガタのにおいなんて

　クワガタ食べたことないし

　きゅうりはきゅうりの味なんだ

　でもでも

　がまんできなかったら

　鼻をつまんでも

　許してね