153年の時を越え――新撰組、小野田家に立つ!
- ★★★ Excellent!!!
新撰組がやってきた! 彼らが存在していた時代から153年後の小野田家に。どうやらタイムリープ現象によるらしいのだが……とにかく、彼らを過去へ帰さなければと決める小野田家。かくて歴史に残せぬ邂逅記が幕を開けるのだった。
基本的にゆるやかな異文化コミュニケーションもので、新撰組に詳しくない方でも安心して楽しめる内容となっているのもオススメポイントですが、設定がしっかり構築されている点は見逃せません。
中でも新撰組の身柄を預かる小野田家、実在する小野派一刀流の道場を営んでいる設定がよく効いているのです。それがあればこそ、小野田家の面々の思考や行動に厚みと説得力を持たせられているのですよね。歴史ものは史実をどう調理するかが見せ所となりますが、異邦人サイドではなく、現地人サイドを出汁にして、しかもおいしくできている作品となると希なものです。
そして新撰組の刀なき日常(彼らにとっては非日常ですが)という、これもなかなかない切り口でおもしろい!
ネタの切り口と確かな舞台設定が光る、粋な逆タイムスリップ物語、推しです!
(「“粋”のいいネタ!」4選/文=髙橋 剛)