相まみえた7種の生命体は生き残るがため戦う……!

 2033年、月面に3つの異世界を繋げる次元跳躍孔“ホール”が発現。人類(ヒューマンビーイング)は海底人(ディープシーライブズ)及び恐竜人間(サウロイド)と講和条約を結び、「九条約」を結ぶこととなった。しかし話はそれで終わりはしない。三者のみならず他の異世界人やエイリアンが出現し、総勢七者となった彼らは己が種の生存をかけ、相打つことに……!

 異世界=パラレルワールドの住人である5つの種族に2種のエイリアンを加えた生き残り合戦、このたまらないストーリーを実現した“ホール”の設定がすばらしい! 細やかさと濃やかさはもちろんのこと、設定が各陣営の立場や思惑にしっかり絡められているのですよ。説明が多くなるのはSFの宿命ですけれども、不可欠な説明を描写へ練り込んでドラマの起点とし、緊迫感を引き絞る舞台装置として機能させる著者さんの手腕は唸るよりありません。

 本格派SFでありながら戦争ドラマとしても間違いなくおもしろい! ハードな世界観を求める方へ真っ先におすすめしたい一作です。


(「ロマンとの遭遇! スペースオペラ!!」4選/文=高橋剛)

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