お勧めされていたので読んでみましたが、何で書籍化されてないのか不思議なくらいの完成度、かつ面白いハードSFです。
あっという間に引き込まれ、四百話以上を一気に読破させて頂きました。
ハードSFの醍醐味と言える設定の妙がなされ、異種族の考え方や習慣がみごとに描写されております。
キャラクターも地に足がついており、違和感なくこの世界に馴染んでおります。
しかもこの量で序盤の展開も終わって居ないと思われます(゚∀゚)
日本版ペリーローダン作品の開幕です。
これが埋もれるとは、SF冬の時代といわれますが氷河期ですね。
SF好きには是非ご一読をお勧めしたい逸品です。
2033年、月面に3つの異世界を繋げる次元跳躍孔“ホール”が発現。人類(ヒューマンビーイング)は海底人(ディープシーライブズ)及び恐竜人間(サウロイド)と講和条約を結び、「九条約」を結ぶこととなった。しかし話はそれで終わりはしない。三者のみならず他の異世界人やエイリアンが出現し、総勢七者となった彼らは己が種の生存をかけ、相打つことに……!
異世界=パラレルワールドの住人である5つの種族に2種のエイリアンを加えた生き残り合戦、このたまらないストーリーを実現した“ホール”の設定がすばらしい! 細やかさと濃やかさはもちろんのこと、設定が各陣営の立場や思惑にしっかり絡められているのですよ。説明が多くなるのはSFの宿命ですけれども、不可欠な説明を描写へ練り込んでドラマの起点とし、緊迫感を引き絞る舞台装置として機能させる著者さんの手腕は唸るよりありません。
本格派SFでありながら戦争ドラマとしても間違いなくおもしろい! ハードな世界観を求める方へ真っ先におすすめしたい一作です。
(「ロマンとの遭遇! スペースオペラ!!」4選/文=高橋剛)