異世界転生・転移モノを読む時、いつも疑問に思うことがあるのです。
これ、現地の青年が主人公でも良くね?
なんでわざわざ異界から一般人を召喚するわけ?
つまり「この主人公でなければ成立しない話なのか、これは本当に」という点が私にはとても気にかかるのです。別人が召喚されたとしてもつつがなく話は進んでいたように思える、そんな話をこれまでにも沢山カクヨムで見かけました。
されど、この作品は違います。
絶対にこの主人公でなければ完成しない話なのです。
なぜ召喚されたのか、その理由が明確になることは勿論――「作者さま」がなぜ彼を選んだのかまでハッキリとわかる作品はそうありません。
それはつまり、異世界転生モノでアヤフヤになりがちなテーマとオチがガッチリ作り込まれているという事を意味しています。そうきたかぁ~と喝采したくなる構成も実に素晴らしい。
現実世界であろうとも、異世界であろうとも、過ごした土地は異なれど、それは同じ人生。そこに意味を見出せるかは生き方によって異なるのでしょう。
短編ながら模範となるべき出来栄えだと感じました。
異世界転生ものが好きな方、これから書いてみようかな~とお思いの方は是非!