後書き

― 西暦2021年6月5日


― 煉瓦造りではないがあの一軒家のモデルになった合間家




 「バ・ラシーヌに咲く花々 百年後の王国物語3」を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。特に応援、フォロー、レビュー、コメント下さった方々には感謝の気持ちでいっぱいです。ご意見ご感想、真摯に受け止めております。皆さまの評価、反応がとても励みになります。


 この物語は前作「カルティエ オ・ラシーヌへの道」の連載中に書き上げました。「オ・ラシーヌ」を書いていた時にクロエのお母さんとダフネも幸せにしてあげたいな、という想いが強くなって考え付いたものです。その時点で前作はもう中盤くらいに入っていて、キャロリンさんには名前をつけていませんでしたから、「オ・ラシーヌ」ではそのまま名前なしのクロエのお母さまというだけで突き通しました。


 名前と言えばこの物語ではクイヤール家でのダフネの通称はマドレーヌでした。料理かお菓子の名前で女の子の名前としても通るものと言ってすぐに思い付きました。そして書き進めて行くうちにそう言えば偶然イニシャルもMだわ、なんて不埒な考えに及んでしまった作者でした。フランソワが巻き込まれたあの因縁の事件に見事絡めるようにポール料理長には苗字もMで始まるものをデタラメに言わせてしまいました。


 料理分野のトリヴィアに詳しいポール料理長によると、マドレーヌという焼き菓子は最初に作った人の名前がマドレーヌだったからそう呼ばれるようになったのですね。このポール料理長のおかげでジュリエンは大いに遠回りさせられる羽目になりました。まあ、これも自業自得と言えますね。


 題名が「バ・ラシーヌに咲く花々」ですので、物語の各話は花言葉にしてみました。いつか花言葉とか花の名前を使った題名の物語が書きたかったのです。やっと長年の念願を果たせました。キャロリンが一目惚れした家の通りには菩提樹が沢山植わっていて、通りの名前も菩提樹を意味するティユール通りです。菩提樹の花言葉は偶然にも結婚なのでした。これは私もキャロリンさん憧れの一軒家を設定した後から知りました。


 ダフネと言う名前の語源はギリシャ語の月桂樹なのですが、月桂樹の葉の花言葉は「私は死ぬまで変わりません」です。これはジュリエンにプロポーズの言葉として言わせてみました。もちろん、前作「オ・ラシーヌ」でダフネを命名した時にはここまで考えてはおりませんでした。


 さて、この物語ではシリーズ昨初のダブル主人公にしてみました。というのもそれぞれの話があまり長くならなかったし、時系列的にも前後して近いのでもう面倒だから一作にまとめてしまえ、といったノリでした。題名も一つ考えるだけで済みましたし、これはこれで良かったかと思います。


 そしてもう一つ、今作初の試みとしてダフネ編で視点入れ替わり制を用いてみました。物語の構成を考えている時にダフネとジュリエンお互いの言い分を同時に取り入れたいと思ったからなのです。時系列も少々前後することもありましたし、分かりにくくならないように努めてみたつもりです。これも実際書き始めてみると意外と楽しめました。


 次作、次々作のネタもないわけではないのですが、春先から益々多忙な日々を過ごしており、何も形になっておりません。少し涼しく寒くなるまでは小説を書く時間も取れそうにないのです。しばらくは休ませていただこうかと思っております。




           合間 妹子

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バ・ラシーヌに咲く花々 百年後の王国物語3 合間 妹子 @oyoyo45

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