第5話(最終話)卒業
一年後、俺たちの卒業式が体育館で行われた。この学校ともお別れである。
俺と里奈、そして恵美子は卒業証書を受け取った後、手話部で写真撮影をするため部活の教室に行った。
「「「先輩卒業おめでとうございます!」」」
あれから俺たちの後に、無事かわいい後輩たちが入った。一年前の部活動紹介は大成功だったのである。男子部員二人と女子部員一人だ。
「ありがとう!!」
俺が言うと、里奈と恵美子も続けて言った。佐和子先生も隣で泣きそうな顔をしている。
写真撮影を黒板の前でした。俺たちが一番前で、後輩がその後ろ、佐和子先生が真ん中の配置だ。
その時、俺は後ろから何か気配を感じた。吉永さんが最後に俺たちを見に来てくれたのか? 俺は何となくそう思いながらカメラに目線を移した。
その後、俺たちは花束と写真付きの色紙を貰った。隣を見ると、里奈がボロボロ泣いていて、俺はギョッとした。
「お前……。泣くんだ」
「バカ。私だって涙くらいでるわよ」
里奈が必死で涙をぬぐう。
「里奈ちゃんにもらい泣きしそうだよ」
恵美子も目が涙ぐんでいて、涙を堪えている。俺まで泣いてしまいそうだ。
「またいつでも遊びに来てください。手話部は全て僕たちが引き継ぎます」
後輩たちはまだ一年生なのに、とてもしっかりしていた。
「……ありがとう」
ついに俺まで泣いてしまった。三人ともボロ泣きした。
帰り際に佐和子先生が泣き笑いの状態で言った。
「あんた達、数学も手話も忘れるんじゃないよ!」
俺たち三人は、笑顔で手を振りながらその場を後にした。
成仏できない幽霊さん (終)
成仏できない幽霊さん しんたろー @shintarokirokugakari
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