暖かな人間性を感じさせられる物語でした。
手話の事、幽霊の事、それにかかわる少年たちの事、その全てに優しさが秘められているように思いました。
短い物語だからこそ、様々な事を考えさせられ、登場人物の言葉ひとつひとつに教えられる事がありました。例えば「幽霊」という言葉に感じる印象もそうでした。主人公に死んだ人間だから無条件で怖がる、人の敵だと断じるような乱暴さがない事が、私は最も惹かれます。
幽霊に対して話しかけられる事に対し、「そんな対処ができるくらい慣れているのか?」という感想を懐く人もいるでしょうけれど、私は主人公のインテリジェンスが対話する事を選んだように思えます。
だからこそ続く幽霊のセリフに続けられ、また双方にある優しさに繋がっているように感じ、そして主題になっている手話も、私には優しさというイメージに繋がりました。
そして言葉の意味について考えさせられます。幽霊とは「かすかな霊」であり、恨みを懐いた怨霊でも、悪事を働く悪霊でもないのだ、と。
そう考えるとタグに「ホラー」とありますが、ホラーには恐怖という意味ではなく、怪奇という意味もあり、そういう意味では偽りはないはずです。
そこら中に報われないニュースが溢れている今だからこそ、広まって欲しい物語です。