宿命に引き裂かれた魂の交錯

 戦の嵐が吹き荒れる時代に生きた二人の武将、白狼姫と源義家。本作は、歴史の荒波に翻弄されながらも、互いに惹かれ合い、そして対峙する宿命を背負った二人の物語です。

 戦場で幾度となく剣を交えながらも、彼らの間には言葉にできない共鳴が生まれていきます。敵同士でありながら、互いの生き様を知るほどに、戦いの意味をも変えていく。彼らが歩む道は、決して交わることはないのか、それとも――。

 壮大な戦記の中に繊細な心の機微を織り込んでいる物語。戦場の緊迫感とともに、白狼姫と義家の関係がどのように変化していくのかが見どころです。

 歴史が語るのは常に勝者の記録。しかしこの物語は、戦いの裏に潜む「もしも」の可能性を問いかけてきます。運命に翻弄される二人の姿に、戦いとは何か、人とは何かを考えさせられます。

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