第14話 一ケ月後
私は授業に出ないで、誰もいない体育館でバスケットのユニフォームを着てボールをついている。
ドンドンドン…
広い体育館に心地よい音が木霊する。
待つなって…
ドンドンドン…
窓から差し込む斜光が、舞っている埃にあたっていくつもの線になっている。
ドンドンドン…
インターハイで絶対優勝する。
満面の笑顔で優勝旗を持つ。
待ってなんてやるもんか、いっぱい生きて綺麗な可愛らしいおばあちゃんになってやる。
タカアキこそ天国で私が来るのを、首をながーくして待っていて!
タカアキが死んだって、この世にいなくなったって…それでも私は……
バン! 私はバスケットゴールに向かってボールを投げた。
しゅるる、ストン!
ゴールネットに直接吸い込まれたボールはバン!
体育館の床にあたって大きく弾けた。
その時、
「サヤナイスシュート! 僕の分も生きて」
確かに聞こえたタカアキの声だ。
「もうバカじゃね、どこまで優しくて強いんだよ、天国で見守っていてね! 」
大声で叫んだ声はいつまでも体育館に反響していた。
サヤ
タカアキへこれが最後のメッセージです
私は一カ月間家から外に出られなかった、SNSのタカアキとのやり取りを何度も見て泣きながらすごした
それで気がついたんだ、タカアキは私が悲しむのを望んでいないこと
強くなければ優しくなれないこと
だから強くなる、優しくなる、タカアキのようになれるように頑張る
そして家に遊びに行くから、その時まで待っててください
(サヨナラなんていうもんか)
今までありがとう、タカアキはいつまでも最高の私の彼氏です。
了
SNS小説 それでも私は… 赤木爽人(あかぎさわと) @kazemaru3343
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