雪を待つ、それが儚い希望だとしても


 温泉地の裏町を歩く女は、雪が降るのを待っていた。ある目的を遂げるために。

 人が道を選ぶ理由は、それが絶望であったり希望であったりとさまざまだが、時として滑稽なほどに単純な理由でその岐路を決めることがある。
 この雪を待つ女性は、絶望から暗い道を歩き始めるのだが、暗鬱な物語であるにもかかわらず、どこかに滑稽さが漂い、自嘲的なスパイスが効いている。だが、こういうこと、実際によくある。誰にでも一度や二度、こういう転回は、あるものなのだ。