サンドラ・ライルト公爵夫人の日記2
●月●日
アレンが雲の精霊様の上で寝返りするのが楽しい様で、笑いながら左右に体を動かしている。雲の精霊様には感謝している。それと同時に、アレンが涎を垂らしたり、千切って食べようとしているのには、本当にもし訳なく思う。唯一の救いは雲の精霊様が全く気にしてない事だろう。
乳母が言うにはそろそろつかまり立ちする様だ。
●月●日
どうやら乳母の話を精霊様達も聞いていた様だ。
アレンの部屋に覚えのない、細い木の柱と石の柱2つが出来上がっていた。それもアレンが握るには丁度よさそうな細さの。
部屋の隅では気の早い事に、闇の精霊様と光の精霊様がアレン用の小さな手押し車の様な物を作っていた。しかしどうも寸法が2人で違ったようで揉めていた。
当のアレンは立つよりも、柱に興味があるようで、小さな手で確かめるように叩いていた。
●月●日
アレンは立つよりも、新しい移動を先に覚えてしまった。
雪の精霊様が丸い氷を作るとその上に乗り、地面を滑るように部屋の中を行ったり来たりしている。服が濡れて冷たくなると思って抱き上げたが、冷えても濡れてもおらず、雪の精霊様から舐めて貰っては困ると言ったような思念が飛んできた。恐れ入りました。
●月●日
アレンがついに立った。
夫が部屋に来た時に、夫の足に掴まってアレンが立ったのだ。夫は大喜びだったが、柱になっていた精霊様達はガラガラと崩れ去ってしまった。
夫の勝ち誇った様な笑みを見て私まで笑ってしまいそうになったが、精霊様達はそれならばと今度は手押し車の形をとって、今度は夫が悔しそうな顔をしていた。
そろそろお手製の手押し車が完成しそうだった、闇と光の精霊様達は愕然としていたが。
●月●日
光と闇の精霊様達がまた喧嘩をしていた。
どうやらお互いとも、どうして物質を作れないのかと罵り合っているようだった。未だ意思疎通は出来ないが、段々と慣れてきたためなんとなく分かった。
しかしそれも、アレンがお二人が作った手押し車に掴まると解決した。お二人は大喜びで床に伏せると、アレンが手押し車を使って歩くのを、今か今かと待ち始めたのだ。
他の精霊様方も、流石は最上位の方達だと感心していた。
流石にアレンが歩く事はなかったが、お二人のはしゃぎ様でなんとも明るい一日だった。
●月●日
手押し車の車軸がズレていたようで、お二人がまた喧嘩をしていた。
●月●日
アレンがまた新しい移動をしていた。
アレンの乗った手押し車を地の精霊様が車輪だけを回して、馬車の様に移動していたのだ。手を叩いて喜んでいるアレンを見て、お二人はそれなら自分が馬になると言わんばかりに四つん這いになっていた。
不敬であるが、笑ってしまいそうだった。
精霊の子育て……の周りの日記! 福朗 @fukuiti
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。精霊の子育て……の周りの日記!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます