どうせ食べられるなら、手の込んだ料理になりたい? なりたくない?

 数年前に地球を訪れた宇宙人、高度な科学力を持つ知的生命体。
 当初は友好的、平和的な関係を築けるはずだった彼らは、ある理由から人類にとっての害悪となる。
 宇宙人にとって、人類は美味だったのだ。

 主人公は宇宙人に拐われた地球人。まな板の鯉よろしく生存こそ諦めているものの、自分がどう料理されるかを宇宙人に願い出る。
 世の中には「どうせ食べられるなら、手の込んだ料理になって美味しく食べてもらいたい」という人もいれば、「変に手の込んだ料理にされると、何か気持ち悪い」と感じる人もいるのだろう。(ここで「そもそも食べられたくない」という人には、知的生命体としての会話能力が若干不足していると言える)
 この物語の主人公は後者だが、自分はどうか、と考えてみるのも面白い。

 確かに、ペーストにされてソースになるのは、生きたネジになるのと同等のおぞましさがあるかもしれない。
 個人的には、形が残る料理でも「北京ダック」だけは勘弁願いたい。