【グードウェルド王国】
[ララーシュカ・十歳]
第三十六話 ハッピーエンド。
夢を見たわたくしは、昔、
そして、わたくしが本当のわたくしにもどったような、そんな感覚がしたのです。
デュークが
ロロさんのことは、わかりませんが……。
ヴィーが、
それで、わたくし、号泣しましたの。
夢から覚めた時から、泣いてはいたのよ。でも、号泣は、していなかったのです。
夢の影響なのか、ランカだったあと、
それと、ランカの息子の
彼は、わたくしの前世を見て、なにを思ったでしょうか?
わたくしはなぜか、自分の前世を知ってしまいましたが、彼は他人の過去や、前世、未来や、来世を、見ることができたみたいでしたから。
わたくしの前世を見て、おどろいたかもしれませんわね。
わたくしがランカだったころ、その後半の人生ですが、息子のことばかり心配していましたの。それか、自分を責めてばかりでしたわ。
夢ですけど、でも、そうだったなと、わたくしは感じているのです。
悲劇のヒロインというか、息子には、明るい母親じゃなくて、申しわけなかったと思いますのよ。
わたくしが小蝶だった時も、そしてララーシュカになってからも、喜びの感情があったとしても、心の底にはいつも、藍色の孤独があったような気がしていますの。
藍色は好きなのよ。でも、そんな気がしますの。
朝になってすぐに、わたくしは、デュオン兄さまのお部屋に行きましたの。そして、デュオン兄さまに、夢のことと、そのあとわかったことを話しましたの。泣きながら。
そうしたら、デュオン兄さまも、デュークだった時の夢を見たとおっしゃったのです。
わたくし、とてもびっくりしましたの。
その時に、昔お城で、『月夜の民』の絵本をなぜ、わたくしに、自分で読むようにすすめたのか、お聞きしてみました。
すると。
「ああ、それはね、乙女ゲームの攻略本に載ってた覚えがないのに、ものすごく気になってたらしくて、殿下が僕にすすめてきたんだ。読んでみたらさ、なんか、無性に気になって、二人でいろいろ調べてたんだよ。それで、君がどんな反応するか、知りたかったんだ」
と、おっしゃっていましたの。
デュオン兄さまがメリッサさまの屋敷に行って、わたくしとデュオン兄さまが見た夢のことを話してくださるそうなので、わたくしはヴィオリード殿下にお手紙を書きましたの。
だって、婚約者にはなりましたが、第二王子ですものね。そう簡単には二人きりになれませんものね。
なんと書けばいいか、悩みながら、わたくしがお手紙を書いていた時のことです。
いきなり、ヴィオリード殿下が屋敷にいらっしゃったのです。わたくし、びっくりしましたのよ。
二人でお庭を歩きながら、お話をしていましたら、ヴィオリード殿下が、月夜の民だった時の夢を見たとおっしゃったので、わたくし、おどろいて、立ちどまりましたの。
「殿下、わたくしもです。わたくしも、月夜の民だった時の夢を見ました。ランカという名前で、日本に行って、
「ヴィーと、呼んでくれ」
「……ヴィーさま?」
わたくしが、ドキドキしながら、そうお呼びしましたら、ヴィーさまはふわっと、花が開くようにほほ笑んでくださったの。
それで、わたくしに数歩、近づいて、わたくしをやさしく抱きしめてくださったの。
しばらくして、「好きだ」って、ささやいてくださったのよ。
わたくし、キュンキュンして、おかしくなりそうでしたの。
そのあと、屋敷にお帰りになったのは、デュオン兄さまだけではなく、メリッサさまもでした。
メリッサさまも、月夜の民――メリリだった時の夢を見たらしくて、四人でデュオン兄さまのお部屋に行って、たくさん昔話をしましたの。
完
異世界人の末裔の少女は、乙女ゲームのヒロインに転生しても、満月の夢を見る。 桜庭ミオ @sakuranoiro
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます