中学三年生、「櫻子」こと「さくら」が学校で出会う、数々の不思議な出来事。
いつの間にかそばにいた、「美桜」こと「ミオ」という名の友達とともに。
さくらの日常に、「学校の七不思議を解き明かす」という、ちょっと怖いような、でもちょっとワクワクするような使命(?)が訪れます。
春夏秋冬、季節が廻り。
さくらとミオが出逢う不思議な体験、ちょっとオカルトのような人たちは、どこか滑稽で、優しくて、何故だかちっとも怖くない。
ひとつひとつの出逢いが、さくら自身と深くつながっている、ということにも気づかずに。
そして迎える、最後の冬。七不思議の秘密が、少しずつ解き明かされていきます。
作品全体を通して流れる温かな風は、いつも桜の花弁を乗せて。
さくらとミオ、周りの人たちに、いつも温かな春の風を届けます。
女子中学生の友情、心のもつれ、勇気、仲直り。
そしてまた続いていくつながり。
読者の心にも、ほっと優しい桜の花を届けてくれる、素敵な青春ダイアリーです。
よく「桜の木の下には死体が埋まっている」というが、この物語はそんな使い古された言葉を忘れてしまうくらい、優しい物語だ。
女子高校生の主人公は、親友と学校に伝わる不思議について調べ始める。それらの不思議に出会い、彼らの心の内に触れるたび、主人公は心の痛みと共に成長していく。
春にはオオカミ君。狼の着ぐるみの頭だけを被った不思議の一つで、放課後の教室に出没する。主人公は尾上君とノートのやり取りをしたことを思い出す。果たしてオオカミ君は、尾上君なのか。夏にはミイラ先輩。包帯を自分のアイデンティティにしてしまった、陸上部の先輩らしいのだが、何故先輩はミイラになってしまったのか。そのきっかけは小さくも心に刺さるものだった。秋には透明人間。体育館の不思議。声は少女のものだった。そして冬には――。
春夏秋冬の不思議たちに託された伏線が、全て回収される時、「不思議」に隠された真実が目の前に現れる。その時、主人公は……。
切なくも温かく、そしてどこか懐かしい。
最後はこころにじわっと心に滲む優しい感情がありました。
是非、是非、御一読下さい!
桜を中心とした温かい、あたたかいお話でした。
さくらの学生ならではの悩みは、読んでいる私も共感できるところがありましたし、無邪気で明るくて頼りになるミオを見ていると、こちらの心まで支えてくれるような気になりますね。
それに春夏秋冬、それぞれに出てくる人物たちも個性的で、次はどうなるのかなぁと終始ワクワクさせてもらいました。それぞれ違う話を描いているようで、最後全てが一致する、このお話の構成も大好きです。
寂しい時にそっと寄り添ってくれる、冷えてきた心に温かさを与えてくれる、春の陽気のようなお話が程よくて、本当に大好きです。個人的には学生さんたちに読んでもらいたいと思いました。一人で寂しさを感じた時に、きっと、友達になってくれる話だと思います。
ぜひぜひ、ご一読を。