命は、そこに在るだけで素晴らしい

亡き祖母を弔う際、彼女の大切にしていた象牙の櫛の付喪神が誕生しました。
美しい少年の姿をした付喪神は主人公・伊織に依頼をします。
それは、祖母の亡骸と一緒に櫛を焼いてくれという願い。
生まれたばかりであるにもかかわらず、慕う祖母と共に死んでゆくことを望む付喪神の依頼に、伊織は応じるのか――

柔らかで丁寧な語り口が典雅で、命のはかなさ美しさをそのまますくい取ったよう。
肉体をもって生きるということの意味を問い直す、素敵な作品です。

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