ふたつの夢を追いかけて

作者 きょんきょん

70

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★★★ Excellent!!!



苦難に愛された主人公律人の日常
は灰色でした。彼には生きること
への希望なんてない。なんなら、
死のうが生きてようがどちらでも
良さそうな、無気力状態。
そんな彼が、突然、そうも言って
られなくなりました。きっかけは
少女、真莉愛との出会い。

年齢も性別も異なる二人を繋ぐの
は『ピアノ』そして『ショパン』。


例えばショパンの有名な言葉通り、
幸せは僅かな間だけしか訪れない
ものだとしても。既に十分すぎる
ほどの喪失を経験してきた二人に
どうか早くその時間がやってきて
ほしい。読み進めるごとに、そう
願わずにいられなくなりました。
これほどまでに繊細な描写を前に
して、感情移入しないなんていう
のは、とても難しい話です。。。

どこまでも美しい文章で描かれる
甘みを帯びた切なさに、心が揺ら
される。そんな感覚の虜になって
続きを待ち侘びてしまう、そんな
作品です。

★★★ Excellent!!!

 地の文が多いんですが、それを感じさせないくらい読みやすくて、読んでいると情景が容易に浮かぶほど想像力をかきたてる文体でした。

 やっぱり文体が個性的で、これぞ純文学を読んでるという気持ちにさせられました。

 ショパンの練習曲でつながる二人の関係に頬がゆるみました。事情は違えぞ、それぞれショパンに思い入れがある、という描写が良かったです。