設定の斬新さと、キャラクターの個性付けの妙

file.1まで読了した感想になります。
この作品の最も素晴らしい点は、探偵によって不幸な目にあった主人公が、自ら探偵をやるという皮肉にあります。
この皮肉があることで、主人公氷河の心の中に葛藤が産まれ、また探偵でいる時のある種の自己矛盾が生まれています。これがこの作品に厚みを生み出し、確かに面白いと思える部分です。
また、キャラクターの個性付けもかなり上手です。
読んでいて誰のセリフかわからないということがありませんでした。
キャラクターのグラデーションがはっきりしているため、作品内でのロールが明確です。
これは他の作品と比べても明らかに秀でているところです。
キャラクターの口調が、その性格とマッチしており、行動原理の裏付けとなっている部分も目を惹きます。
私は、探偵モノをよく読む方ではないので他作品との比較はできませんが、file.1のトリックはよくできていたと思います。(浅くてすいません)
唯一、刀のトリックだけはあまりよくわかりませんでしたが、これは私の読解力による物でしょう。
トリックと、犯人特定までの伏線が巧妙に張り巡らされておりとても良い作品だと思いました。