真っ白な暖かい雪につつまれて

普通ならば、雪とは人を冷たく悲しくさせるものかもしれません。この作品に並ぶタグも、「妖」「雪女」「いじめ」と、あの雪女伝説を思い起こさせる悲劇のイメージを連想させます。
しかしながら、この『アオハル・スノーガール』は吹雪が吹き荒れた次の日のような、穏やかな陽射しに満たされた冬の晴れ間を思い起こさせる作品です。


物語のスタートは黒髪の綾瀬千冬が心に傷を抱え、一人で逃げ出すように引っ越してくる、バスのシーンから始まります。雪女のクォーターである彼女が何を抱え、何から逃げて来たかが、ストーリーを通して追々に語られてゆきます。
真夏の茹だるようなバスでの、岡留君との出会い。転校した学校で出来た、クラスメートの友達。引っ張られるように入部した、部活の先輩。
その人たちとの心の交流を経て、移り変わってゆく少女の成長を、ゆっくりと穏やかに描き出す事こそが、この作品の本質にあるのですから。


人の真心に寄り添った暖かなエピソードの数々、作者さまの優しい心がギュギュッと凝縮した「優しさが溢れた物語」、あなたも読んでみませんか?(^ω^)

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