とても初々しい、素敵な青春初恋物語です。読んでいて、気持ちがとてもほっこりします。電車の向こう側の彼女との数秒だけの交歓に、読み手は不思議と心が癒されてしまいます。誰もがこんな出会いもアリだと思える社会であってほしいとも思います。そう思いながら、私も高校時代に電車だけで見かけていた他校の女子生徒のことを懐かしく思い出してしまいました。
ほとんどすべてが1人称の内面描写なのですが、それがなんとも「相手と窓を隔てていて、思いも伝わらないし、相手が感じていることもよくわからない」もどかしさが、よく出ていると思いました。
毎回、同じ時間に出会う。だけど、直接話しかける距離感にないという、微妙な距離がいい。
隣の線路に止まった電車。真正面に見えた彼女に心を奪われた主人公。一目惚れじゃない!そう言いつつも、同じ時間。同じ車両に乗り続ける主人公。それ一目惚れだよ。って読者は突っ込みたくなります(笑)素直じゃない反面、手を振ってみたりする主人公がいじらしくて、好感が持てます。この恋は成就するのでしょうか?
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